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2019年02月09日18:08

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読書日記Nо.1154(追悼、橋本治。人はなぜ美しいがわかるのか)

■橋本治「人はなぜ『美しい』がわかるのか」2018年1月第11刷ちくま新書

先日、作家・橋本治さんが、70歳で亡くなられた。

新聞各紙が、スペースを割いて訃報を報じ、著名な方たちが
コメントをしていて、その方たちが、私が読者である著者たち
なので、驚いた。

例えば、養老孟司さん、例えば内田樹さん、例えば高橋源一郎さんなど。

休日にいつも行く、紀伊國屋新宿店に行くと、追悼のコーナーが設え
られており、ぱっと目に飛び込んできた本書を手に取った。

早速、惹句を紹介しますね。

“人はなぜ、「美しい」ということがわかるのだろうか?自然を見て、
人の立ち居振舞いを見て、それをなぜ「美しい」と感じるのだろうか?”

“脳科学、発達心理学、美術史学など各種の学問的アプローチはさまざまに
試みられるであろう。だが、もっと単純に、人として生きる生活レベルから
「審美学」に斬り込むことはできないだろうか?”

“源氏物語はじめ多くの日本の古典文学に、また日本美術に造詣の深い、
活字の鉄人による「美」をめぐる人生論。 ”

章立てと小見出しの抜粋も紹介。

第一章 「美しい」が分かる人、分からない人
・「美しい」は何の役にたつのか
・「美しい花を見たら即座にもぎ取ってしまう」の不思議
・「美しい」と思う時、時間は止まってしまう
第二章 なにが「美しい」か
・「美しいもの」が好きなだけで悪趣味な人
・ごく稀に訪れる「自然状態」に、人は「美しい」という言葉を与える
・青空を満たす光が、「幸福」と同質であるような美しさに満ちていると知った時
第三章 背景としての物語
・美の冒険者、美の傍観者
・清少納言の見る「冬の月」
・「美しい」という実感の背後にあるもの
第四章 それを実感させる力
・一番最初の「美しい」という実感
・だったら人生はつまらないじゃないか
・野に咲く百合は、ソロモンの栄華より美しい

テクスト自体に身をゆだねる快楽を、橋本治の本を読んでいるといつも感じる。
理路がうねりながら、読者を、ジェットコースターのように、今まで感じた
ことのなかった地点まで運ぶ。

その独特の文体は、余人が追随できない至芸で、だから、訃報にこれほど
までの人が哀悼を表する。

・・・と書いてきたが、橋本治さんに出会っていないマイミクさんもおられる
と思いますので、略歴も記しますね。

・1948年東京生まれ。東京大学文学部国文科卒。在学中に描いた駒場祭ポスター
「とめてくれるなおっかさん 背中のいちょうが泣いている 男東大どこへいく」で
イラストレーターとして注目される。

・『桃尻娘』で講談社小説現代新人賞佳作受賞。以後、小説・評論・戯曲・
古典の現代語訳・エッセイ・芝居の演出などで精力的に活躍中。著書に
『「三島由紀夫」とはなにものだったのか』(小林秀雄賞受賞)
『宗教なんかこわくない!』(第9回新潮学芸賞受賞)他多数。

この読書日記でも、10冊以上の著書を紹介してきたが、たくさんの未読の
本があるので、これからゆっくり読むことにします。

合掌。
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