【企画】夜の小説
http://mixi.jp/view_diary.pl?owner_id=47474346&id=1953488452
詩ですが、
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『無への交わり』
この部屋に二つの宇宙があって、交わることなく同じ時を過ごしている。
か細い弦をなでるように押しだされた風が一つの宇宙を離れ、混沌の部屋をさまよう。もう一つの宇宙がそれを追いかけるように風をおくる。別々の宇宙にあった風は混じり合い、また二手に分かれてそれぞれの宇宙へと侵入していく。
私という殻の中で、貴女という殻の中を覗く者。覗かれている者は闇の中で光を発し、ホタルのように泳いでいるのだろう。
現という部屋の中で、貴方という殻をやさしく浮かび上がらせる光を、せめてもの交わりとしてとりこんでいる宇宙。いつしか同じ闇に混じり、天体の自転に離されるまでの一瞬、互いを交わらせる。
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