■獺狐余話(132)　/　「予期せぬ出来事、または、福音」

●2014年12月24日(水)　　曇り

　▼「ナラトさん。
　　　お客さん、帰りました・・・？」

　　「ああ、帰ったよ」


　　「誰ですか、あの人・・？」

　　「『コープエイシス』の人だよ。

　　　生協の保険事業は、むかし、『協同信用』という会社名の
　　　『コープこうべ』の子会社でやていたのだが、社名変更したんだ・・・」

　
　　「ふーむ、その人が何でやってきたんですか・・・？」



　▼「それがね、キツネくん・・・。
　　　喜んでくれたまえ、『５年契約・火災保険』が満期になるんだって・・」

　　「『満期』って、契約が終わる、ちゅうことですか・・？」

　　「そうなんだけど、単に、契約終了するだけでなく、この保険、
　　　掛け捨てタイプでなくて、積立型にしておいたので、満期返戻金(へんれいきん)が
　　　あるんだ・・」


　　「へえぇ・・、『もどり』があるんですか・・・。　で、なんぼほど、返ってくるんですか？」

　　「２５万円！」


　「うわぁ・・・、よかったですねー、ナラトさん。

　　ナラトさん、貯金を１００万円だけ残して、あと全部おろして、奥さんに
　　あげちゃったじゃないですか・・・。

　　そのうえ、本棚やテレビ台や、台車８台、カーペットなんか買ったでしょう。
　　それに、法事もあったし、オレ、おカネが、どんどん減るっ・・・、て
　　わが身のことのように、心配してたんですよ・・」


　▼「そうだったの？　それは、どうも、ありがとう・・。
　　　ボクも、少し心配だったが、これで、ちょっと安心・・」

　　「ナラトさん、安心して、無駄遣い、しちゃあダメですよ！」

　　「ああ、わかってる、わかってる・・・」


　　「ところで、ナラトさん。
　　　よく聞く言葉なんですが、この『福音』、ちゅうのは何ですか・・」

　　「ああ、『福音』・・、それは『よき知らせ、喜ばしい知らせ。朗報』のことだよ。
　　　まさに、今回のように・・・」

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