mixiユーザー(id:60260068)

2014年04月02日03:58

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『未完成』


 水をひろう鼓膜の泡のささやかに
 まつ毛は風にのり
 草むらを敷いて
 青すぎる空は目をしぼませる

小さな虫には私が見えないのだろうか
頬をくすぐる六つ足の先の安堵

 光は目蓋で赤く色づき
 遥かに沈んだ川底に眠る


足音

歩幅は広く

 二つの旋律が寄り添い調和している
 幾度となく繰り返しのぼる陽に 
 終わりなどあるはずもないと

駆け足で過ぎていく岸の色は
川幅が広がるうちに霞み

 鳥の羽音、遠退く囀り
 空の青は失せ、水の灰にのまれる

 目蓋を引っ掻く閃光
 波に上下する大木
 堤の草は激流に浸かる


たなびく轟音が

光を戻す

 青白く見開いた目にうつる
 飛行機雲は流されて
 消えていく音に完成はなく




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