水をひろう鼓膜の泡のささやかに
まつ毛は風にのり
草むらを敷いて
青すぎる空は目をしぼませる
小さな虫には私が見えないのだろうか
頬をくすぐる六つ足の先の安堵
光は目蓋で赤く色づき
遥かに沈んだ川底に眠る
足音
歩幅は広く
二つの旋律が寄り添い調和している
幾度となく繰り返しのぼる陽に
終わりなどあるはずもないと
駆け足で過ぎていく岸の色は
川幅が広がるうちに霞み
鳥の羽音、遠退く囀り
空の青は失せ、水の灰にのまれる
目蓋を引っ掻く閃光
波に上下する大木
堤の草は激流に浸かる
たなびく轟音が
光を戻す
青白く見開いた目にうつる
飛行機雲は流されて
消えていく音に完成はなく
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