mixiユーザー(id:1040600)
2006年07月28日03:50
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●身辺雑記�供�25）/■ちゅうことになっておる
■ちゅうことになっておる
●セミが、ようやく鳴き始めた。
雨が降り続いたせいか、ときどき
一匹が、かぼそく鳴くのを聞いたが
きょうは、クマゼミが元気に鳴き、
ベランダには、布団が干された。
夾竹桃が夏の光を浴びている。
●妻が休みで、アクリル画を描いている。
「アルリル絵具」というのは、水彩絵具と同じように
水に溶ける「水溶性染料」のようだ。
だから、水性の絵具の特徴の「ぼかし」や「にじみ」が
表現でき、しかも、乾くと、油性絵具と同じような重ね塗り
もできる。重ねても水性絵具のような色の混濁がなく、下の色を
出したり、また上描きした色を加えて深みを出すこともできる、
ようである。
いま、妻は二作目、三作目に着手している。
デジカメに撮ったり、横で絵を見ながら何か言ったりすると、
「邪魔だから、あっちに行ってよ！」
と、言われてしまった。
（ここまで書いて、昼寝）
●きのう書いた日記の「広告の本」をパラパラ読み返していたら、
自分の誤り、記憶違いを発見した。
この「本」の１７６ページに、それが出てくる。
「四国の松山で育った私は、子供のころ、叔父に連れられて、
よく町を歩いた。
町には、＜漱石ゆかりの＞史蹟や、＜坊ちゃんゆかりの＞
名所があちこちにある。叔父はそこにさしかかると、
しばしば、こんな風にいった。
「ここは、夏目漱石が○○したところだ」
「ここは、坊ちゃんが××したところだ、
―――ちゅうことになっておる」
なぜか、坊ちゃんゆかりの場所については、必ず
＜ちゅうことになっておる＞が付くのである。
どうしてそうなるのか、私にはよくわからなかった。
が、子供心にも、それがなぜか、なんとなく奇異な感じが
したのを覚えている。
今にして思えば、ワケは簡単だ。漱石は実在の人物だが、
坊ちゃんは架空の人物ではないか。
その坊ちゃんに＜ゆかりの＞とはナニゴトか、という
思いが叔父の心の中にあったのだろう。
つまり、＜ちゅうことになっておる＞を付けることで、
叔父は私に、＜モノゴトは額面どおりに受け取るな＞
という「教育」をしてくれたのではないか、という気がする」
●私は、古い日記を探した。どこかで、私は、「早坂暁」さんの
話として、このことを書いた。早坂さんのドラマ「花へんろ」の
思い出として書いたような気がする。
あちこち探すが、その日記がみつからない。
天野祐吉さんは、この文章のあとに、つづけて、次のように
書いている。
「この＜知恵＞は、広告を見るときにも、かなり役立つ。
＜頭痛にノーシン＞（ちゅうことになっておる）
＜走る豪華な応接間＞（ちゅうことになっておる）
＜一日一善！＞（ちゅうことになっておる）
と、いった具合に応用していれば、暗示色をした広告の
糸（意図）に、そう簡単に操られる心配はない。
すぐれた広告というものは、そうした視点を、それ自身の
中に含みこんでいるものではないか。
（ちゅうことになっておる）と、いちいち、つぶやかなくても
そういう風にモノを見る見方を、私たちの中に育てて
くれるのではないか。
広告に対して、それが過剰な期待であることはわかっていても
私はそんな風に、広告を考えるようになった」
●ここまで読んで、私は気づいた。なんで私が、この天野さんの
文章を、早坂さんの文章として記憶していたか、その誤った原因
みたいなものに気づいた。
つまり、私は話の前半だけにスポットを当てて記憶していたのだ。
（ちゅうことになっておる）ということと、「坊ちゃん」「漱石」、
「松山」。そのくらいの「キーワード」で記憶していて、
天野さんがこの話を、「よい広告」の話の枕として使っていたのを
すっかり忘れている。
実は「広告論」の話だったのである。
●いずれにしても、この「広告の本」は、いろんなことを私に
教えてくれた。
それは決して「広告論」としてではなく、「人生論」としてで
あった。
広告・宣伝の要諦はどこにあるか。それは、その媒体に接する
人をして、「うらやましがらせる」ことにある。
そうすることによって、意味や価値の移転が起こり、人々を
行動に駆り立てることができる。
水が、高いところから低いところに流れるように、欲望を誘うには
「うらやましがらせる」ことが、必要不可欠である。
しかし、その「うらやましがらせる」ものの質は、低位のものから
高位のものまである。
水は、高きより低きに流れるが、しかし、欲望は、低位から高位へ
と駆け上がっていくもののようである。
■案内
・最近の日記「目次」
●セミが、ようやく鳴き始めた。
雨が降り続いたせいか、ときどき
一匹が、かぼそく鳴くのを聞いたが
きょうは、クマゼミが元気に鳴き、
ベランダには、布団が干された。
夾竹桃が夏の光を浴びている。
●妻が休みで、アクリル画を描いている。
「アルリル絵具」というのは、水彩絵具と同じように
水に溶ける「水溶性染料」のようだ。
だから、水性の絵具の特徴の「ぼかし」や「にじみ」が
表現でき、しかも、乾くと、油性絵具と同じような重ね塗り
もできる。重ねても水性絵具のような色の混濁がなく、下の色を
出したり、また上描きした色を加えて深みを出すこともできる、
ようである。
いま、妻は二作目、三作目に着手している。
デジカメに撮ったり、横で絵を見ながら何か言ったりすると、
「邪魔だから、あっちに行ってよ！」
と、言われてしまった。
（ここまで書いて、昼寝）
●きのう書いた日記の「広告の本」をパラパラ読み返していたら、
自分の誤り、記憶違いを発見した。
この「本」の１７６ページに、それが出てくる。
「四国の松山で育った私は、子供のころ、叔父に連れられて、
よく町を歩いた。
町には、＜漱石ゆかりの＞史蹟や、＜坊ちゃんゆかりの＞
名所があちこちにある。叔父はそこにさしかかると、
しばしば、こんな風にいった。
「ここは、夏目漱石が○○したところだ」
「ここは、坊ちゃんが××したところだ、
―――ちゅうことになっておる」
なぜか、坊ちゃんゆかりの場所については、必ず
＜ちゅうことになっておる＞が付くのである。
どうしてそうなるのか、私にはよくわからなかった。
が、子供心にも、それがなぜか、なんとなく奇異な感じが
したのを覚えている。
今にして思えば、ワケは簡単だ。漱石は実在の人物だが、
坊ちゃんは架空の人物ではないか。
その坊ちゃんに＜ゆかりの＞とはナニゴトか、という
思いが叔父の心の中にあったのだろう。
つまり、＜ちゅうことになっておる＞を付けることで、
叔父は私に、＜モノゴトは額面どおりに受け取るな＞
という「教育」をしてくれたのではないか、という気がする」
●私は、古い日記を探した。どこかで、私は、「早坂暁」さんの
話として、このことを書いた。早坂さんのドラマ「花へんろ」の
思い出として書いたような気がする。
あちこち探すが、その日記がみつからない。
天野祐吉さんは、この文章のあとに、つづけて、次のように
書いている。
「この＜知恵＞は、広告を見るときにも、かなり役立つ。
＜頭痛にノーシン＞（ちゅうことになっておる）
＜走る豪華な応接間＞（ちゅうことになっておる）
＜一日一善！＞（ちゅうことになっておる）
と、いった具合に応用していれば、暗示色をした広告の
糸（意図）に、そう簡単に操られる心配はない。
すぐれた広告というものは、そうした視点を、それ自身の
中に含みこんでいるものではないか。
（ちゅうことになっておる）と、いちいち、つぶやかなくても
そういう風にモノを見る見方を、私たちの中に育てて
くれるのではないか。
広告に対して、それが過剰な期待であることはわかっていても
私はそんな風に、広告を考えるようになった」
●ここまで読んで、私は気づいた。なんで私が、この天野さんの
文章を、早坂さんの文章として記憶していたか、その誤った原因
みたいなものに気づいた。
つまり、私は話の前半だけにスポットを当てて記憶していたのだ。
（ちゅうことになっておる）ということと、「坊ちゃん」「漱石」、
「松山」。そのくらいの「キーワード」で記憶していて、
天野さんがこの話を、「よい広告」の話の枕として使っていたのを
すっかり忘れている。
実は「広告論」の話だったのである。
●いずれにしても、この「広告の本」は、いろんなことを私に
教えてくれた。
それは決して「広告論」としてではなく、「人生論」としてで
あった。
広告・宣伝の要諦はどこにあるか。それは、その媒体に接する
人をして、「うらやましがらせる」ことにある。
そうすることによって、意味や価値の移転が起こり、人々を
行動に駆り立てることができる。
水が、高いところから低いところに流れるように、欲望を誘うには
「うらやましがらせる」ことが、必要不可欠である。
しかし、その「うらやましがらせる」ものの質は、低位のものから
高位のものまである。
水は、高きより低きに流れるが、しかし、欲望は、低位から高位へ
と駆け上がっていくもののようである。
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