偽物のイマジンが街を闊歩している俺はガイガーカウンターを海馬に埋め込んで徹底的に感染を拒否するヒステリックな世間の声真剣さこそが真実だと信じて疑いもしなかったやつらパリコレのバックステージで起きた主催者暗殺のニュース犯人の手際が鮮やか過ぎて
PVといった方がいいらしい。それはともかく、天国の扉です。音つき朗読の手ごたえを得たきっかけの詩を今回は選びました。最近はこういう詩は書かないので詩のみで読むとなると少しこっぱずかしい感あるんですが音ついてるなら逆に盛り上がるタイプの詩ですね
海岸に流れ着いた死体は名前のないまま葬られた世間から隔離された小さな漁師町の住民たちの優しさはどちらかといえば退屈から来るものでテツは一五歳マチは一六歳ラノは一四歳だったテツは男でマチとラノは女だったそれがこの町の未来のすべてだったあとは八
三島由紀夫の映画観てきました。日曜なので臭いおっさんいっぱいいたらやだなと思っていたんですが、コロナのせいなのか、それとも高知県人にとって三島由紀夫という人の需要がないのかそれは定かではないですが、とても面白い映画でした。面白いっていうか、
ラジオペンチで脳味噌をむしるような音が右耳の奥の方で聞こえている、少し湾曲していて、角度によってはまるで聞こえない耳の中で…たったひとつの音譜のスタッカートで塗り潰した楽譜の初見演奏のような旋律だ、いや、そもそもそれは、旋律と言えるのか?規
二七度目のクラクションのあとの殺人事件、三十代のサラリーマンは運転席で生涯の幕を閉じられた、みぞれ交じりの雨が降る二十二時のことだった、アスファルトに流れた血液は真っ先に車道脇の排水口へと姿を消した、犯人は現場から二キロの山中でこめかみにナ
なにもないなにもないなにもない部屋を塗り潰して深海の色に変換した息の続く海底で沈んだまま太陽に焼かれる夢を見る三月手のひらのなかでなにかが握り潰された音がしたけれどひらいたそこには欠片ひとつなく水晶体にまで無音が染み込んでくる思考は汗のよう
眼球のピントは崩れ右目と左目があさっての方を見る世界は歪んでいるその目には確かにそう見える交通課の事故処理ばかりを目にした一日救急車で運ばれる誰かの呻き声深刻そうな顔して見物する野次馬誰から憎めばいいのか分からない加害者安い昼飯は胃袋に落ち
辺りを見渡せば意図塗れの言葉を吐いてる魂の貧民窟に住んでるやつら俺が笑っているのはお前らの自尊心がひどく間抜けで仕方がないからさいまその場で誰かをやりこめることしか頭にないんだろう目先の価値を拾おうと目論めばその他のすべてを手に入れるチャン
騒々しい球体がずっと頭蓋骨のあちこちを転がり続けているみたいな目覚め、ふやけた景色が見覚えのあるものに戻るまで起きていないふりをして憂鬱をやり過ごし、生存確認のような慎重さで身体を起こし気温の低さに身震いをする、知っているはずのすべてがまる
あなたは世界をかくすほどの傘をさしてしのび足のような雨のなかを歩いているひらひらするくるぶしまでのスカートはすこしだけ濡れてきれいにふちどられたショートケーキのようだつばめは果敢にも雨つぶを切り裂きながら哨戒機のように飛び去っていくしゅう、