mixiユーザー(id:2230131)

2014年05月25日15:23

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The Man Who Sold the World/David Bowie

 アシッドなフォーク・シンガーとしてキャリアをスタートさせたボウイだったが、本作『世界を売った男』にはトニー・ヴィスコンティやミック・ロンソンといった、後にお馴染みとなるメンツと共に結成したライブ・バンド「ハイプ」を存分に楽しむ姿が収められている。

 ときは1970年。ロックという表現がどんどん刺激的になっていく時代のさなか、自分もギターを歪ませて思いっきりラウドにプレイしてみたかったということでしょう。ミック・ロンソンはボウイの全キャリアでももっとも妖艶なギター・プレイを聴かせていて、それを聴いて僕は元・スウェードのバーナード・バトラーのプレイを思い出したりもした。ボーカル以上にメロディを操り、饒舌なんだけど、同時にハードで重く、退廃的な香りの残るあの雰囲気。(懐かしいな。あの人、いまなにやってんだろうな)。

 楽曲の構成も複雑で、大作志向のものが多く、よく指摘されがちなグラム・ロックというよりは、僕は同時期のプログレ思い起こさせた。まあ、プログレと呼べるほどの構築性はなく、構成だけ決めてとりあえずジャムってみました的なグチャッと荒々しい演奏が魅力。そういう意味では、同時期のクリームなんかのライブ・バンドともリンクしているかもしれない。

 同時に、ボウイ特有の陰影に富んだメランコリックなメロディはこのころから健在だし、どこか祝祭感を感じさせるポップなアレンジメントも実はさり気に効いている。象徴的なナンバーが、後にニルヴァーナもカバーしたことで再評価されたタイトル・トラック“世界を売った男”。ニルヴァーナのヴァージョンも90年代っぽくて悪くはないけれど、やっぱり「ポップとダークの絶妙な配分具合」という意味でオリジナルに軍配を上げたい。

 後の飛躍を感じさせる、ボウイがまだカルトヒーローと呼ばれていたころの大いなる助走作。ジャケットは「女装作」だけれど(笑)。
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