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2013年12月27日16:56

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■順不同(04) / 「ソクラテスの哲学」

●2013年12月27日(金)　　雨・曇り

　▼「ソクラテスの哲学」

　　ソクラテスは、人間が本当に求めているもの、それを「善」と名付けた。
　　その本当に求めているもの「善」を手にしたときだけ、人間は幸せになれる
　　と説いた。

　　そして、「善」がいかなるものか、つまり自分が本当に求めているものが
　　何であるか、人は知らない。それは、人間がドクサ(世間の一般通念、あるいは
　　自分だけの思い込み)に犯されているからである。

　　ソクラテスは、自分自身がそのような状況に置かれていることを、つくづくと
　　知った。ソクラテスは、自分自身の「無知」なることを知った。
　　「無知」であるにもかかわらず、「無知」であると気づかぬ、「自分自身の無知」
　　を知った。

　　ソクラテスは、「善について無知であること」、そのことを知ることが、
　　「知」の第一歩であるとした。
　　

　　「自分の無知を悟った者は、大きな喜びを感ずる。それは、それ以上の
　　　祝福はない喜びである。
　　　無知は汚れであり、無知であることを知ることは、汚れからの解放で
　　　あり、無知の汚れから浄められたことは喜びである」と語った。

　　この無知からの解放、浄化のことを「カタルシス」といい、学問は
　　カタルシスであると、説いた。

　　ソクラテスは、「知」を獲得する方法として、自分自身のドクサを
　　吟味することから始めた。

　　自分が知っていると思うことが、本当に自分にとっての「善」であるか、
　　どうかを、ふるいにかけた。これが自分自身による「吟味」と呼ばれる
　　ものである。

　　またソクラテスは、対話によって、対話相手が自身のドクサに気づき、
　　対話相手が自身を自分で吟味するように仕向ける「産婆術」の方法などを
　　編み出した。

　　ソクラテスの「汝自身を知れ」とは、つまり、「ドクサに犯された無知なる
　　自分自身を知れ」というものであった。

　▼１９９３年、「生協学校大学院・最優秀論文賞」の（註）に、私は
　　どうしても、この一文を付け加えたかった。

　　これは、鶴見俊輔の系譜からの「思想」ではない。
　　部落解放教育運動に携わった福地幸造や、田中正造を書いた林竹二などの
　　文脈からの「思想」だ。

　　ここ神戸・湊川で行われた「授業」の記録は、以下に収められている。

　　林竹二『教育の再生をもとめて　　湊川でおこったこと』(筑摩書房　1977年)
　　授業学叢書①　林竹二『授業　人間について』(国土社　1973年)

　　また、福地幸造の著作については、何冊もあるが、次の２冊を挙げる。
　　
　　福地幸造『落第生教室』(明治図書　1964年)
　　福地幸造『部落解放教育の思想』(明治図書　1970年)