●2013年11月03日(日) 雨
▼雨が降り出しそうな気配であり、
もし雨なら、来月には「12月の大掃除」があるので、
今月は、例月のように、雨でできないときは一週間後に延期することは
せず、第一日曜の「団地掃除」は中止することになっていた。
雨が降ったらいいと、内心思いつつ、各戸から階段下の
ひさしの所に集まったみんなは、「降り出す前に、片づけて
しまおう」と、ササラ箒や、鎌や、棕櫚箒をもって
いつとはなしに決まっているそれぞれの持ち場についた。
▼9:20ごろ、掃除は早めに切り上げられ、雨は
降りそうで降らず、きょう一日こんな天気が続きそうだった。
私は、同じ団地内の、歩いて5分とかからぬ近くの棟に
住む「イイモトくん」のことを考えていた。
彼は、今年度、団地の役員をやっているので、自分の棟の
掃除が終わった後も、集会室や、団地の外回りの道路清掃など
「役員清掃」がある。
10:00になったら、リファーレの喫茶店も開くので
それまで、家で待つことにした。
▼4日ほど前、奈良に出かけようと、少し早足で駅に向かって家を
出ると、団地の入り口で、進入する車とすれ違った。
「あれっ、『イイモトくん』違うか?」と、同伴している妻に尋ねたが、
妻は「よう見てないから、判らんわ」、という返事であった。
猫背になって、前屈(かが)みにハンドルを握っている恰好が
「イイモトくん」のようだった。
▼奈良に行った翌日、私が「早朝散歩」に出かけているとき、
「イイモトくん」から電話があった。
妻は散歩から帰った私に、「いまさっき、Iさんから電話があって、
昨日、団地の入口ですれ違ったけど、気づいたっ?、て聞いてから、
もし、よかったら来週くらいに一遍、会いたいって言ってたよ」
と、電話の内容を伝えた。
▼そばに住んでいるのに、もう10年以上も、彼と話をしたことが
ない。
たまに、今回のように、すれ違うことはあるが、
「どう、元気している?」と、簡単な安否を問う挨拶くらいで、
わざわざ訪ねていったり、たま、向こうが我が家にやってくることも
なかった。
しかし、それ以前は、よく行き来し、家族で一緒に出掛けたり、
夜遅くまで、私の家や、彼の家で、職場のことや生活のこと、
「本」の話や、社会のことについて話した。
私が、この団地の募集を知り、応募することにしたとき、
彼は、「だったら、俺も応募するわ!」と言って、申し込み、
運よく二人とも当選した。
30年以上も前の話である。
▼「イイモトくん」は、私より3歳年下で、知り合ったのは
労働組合の活動を通じてで、ともに、まだ20代で、
二人とも結婚して間もない頃であった。
知り合った当初は、二人とも西宮に住んでいて、
行ったり来たりした。
子供が3人になり、3人とも小学校に通うようになって、
結婚した時、「一生4畳半生活」だと、妻に覚悟を強いて
来た私にも、4畳半と6畳と流しがついた2Kの西宮の
アパートは手狭に感ぜられ、もうちょと広い家が必要に
なってきた。
結婚してすぐに、住宅公団の「空き家募集」に応募してたが、
当選することなく24回落選して、住宅公団から「無抽選」の
明石の3Kのアパートが斡旋された。
▼私が西宮から明石に引っ越しても、彼は我が家にやってきた。
車で、家族も一緒につれてきたり、した。
家を買う積りはなかったが、インフレがひどく、妻が
家賃を払うより、家を買う方がよっぽど得だといい、
1000万円を超すローンを組んで、明石から、ここ
須磨に移った。
それは1983年3月のことだったが、そのとき、「イイモトくん」も、
西宮から引っ越してきて、我が家からは数棟離れた須磨のこの団地に
住むことになった。
40年以上も前に、知り合ってから、「イイモトくん」は、
いつも私の跡を追い、私のマネをした。
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