11/9(金)に始まった、第8回浜松国際ピアノコンクールも、予定通り進み、私は、11/20(火)、3次予選の第1日目に行ってきた。
今回のコンクールには、世界32ヶ国から288名の応募があったとの事。3年前の第7回は229名だったから、随分増えている。
まずDVDによる予備審査があり、浜松に集合して第1次予選に参加したのは、20ヶ国92名に絞られた。
第1次予選は、11/10〜14の5日間行われた。
課題曲は、予選本選迄含めて、以下の通り。
http://www.hipic.jp/8th/prospectus/repertoire/
第2次予選は、11/15〜17の3日間。
このステージに進めたのは7ヶ国、24人。
そして、第3次予選には、4ヶ国の12人が残った。
私が聴きに行ったのは、これの2日間の内、最初の日。
6人ずつ、2日間に亘って演奏があるのだが、第1日目も、12:30から始まり、終わるのが21:45。
坐っているだけでも疲れて、とても、全部通して聴くエネルギーはない。
私は、最初から4人だけ聴いて帰ってきた。
ここから本選に進めるのは、半分の6人のみ。
応募総数からすると2%という計算になる。
今回の第3次予選には、室内楽が課題として初めて与えられた。前にも何処かで書いたかもしれないが、大変良い企画だと思う。
ピアニストは、普段ソロばかりやっているから、アンサンブルを試す機会は大変少ない。
しかし、アンサンブルで磨ける音楽性というのは、実は大変に大きいのだ。自分の音楽性の偏りや癖等も、アンサンブルの場で気付く事ができる筈だし、協調性が如何に音楽に重要かも知るに違いない。指だけ早く動いたって、プロを目指す音楽家としては使いものにならない。
課題は、モーツァルトのピアノ四重奏曲の第1番,2番から何れか選択、そして、更に独奏曲を自由に決め、トータル70分間で1つのコンサート形式にする、というものだ。
弦の3人(ヴァイオリン,ヴィオラ,チェロ)は、主催者側が用意する。
今回提供された弦楽奏者達は2組である。何れもvn,va,vcの順で、以下のメンバー。
�〇擁�恭子,松実健太,河野文昭
�⊆晋況嫉�,鈴木康浩,向山佳絵子
錚々たる経歴を積んできた人達だ。
演奏順で、奇数番が�，函�偶数番が�△帆箸犹�になった。舞台裏は知らないが、コンペティターが指名するという形にはなっていないだろう。
私が聴いた1番から4番目迄のピアニストと曲は、以下。
1.阪田知樹(18歳/日本)
モーツァルト ピアノ四重奏曲第1番ト短調K.478
ドビュッシー 12の練習曲第1巻
I・アルベニス 『イベリア』第2集より「アルメリア」
ベッリーニ/リスト 『ノルマの回想』
2.内匠慧(20歳/日本)
モーツァルト ピアノ四重奏曲第2番変ホ長調K.483
ヘンデル シャコンヌ ト長調HWV.435
ババジャニャン 『6つの描写』
ショパン 幻想曲ヘ短調op.49
ショパン 即興曲第3番変ト長調op.51
バラキレフ 『イスラメイ』
3.アシュレイ・フィリップ(23歳/英)
モーツァルト ピアノ四重奏曲第1番ト短調K.478
J・S・バッハ フランス組曲第5番ト長調BWV.816
バルトーク 組曲op.14
リスト 『死の舞踏』
4.オシプ・ニキフォロフ(18歳/露)
モーツァルト ピアノ四重奏曲第1番ト短調K.478
ドビュッシー 『版画』
ブラームス パガニーニの主題による変奏曲op.35第1集
サン=サーンス/リスト/ホロヴィッツ 『死の舞踏』
この後、更にロシアから2名、更に翌日も6人の演奏があった訳なので、私が4人の順番を付けても意味はない。
少しだけ個人的な感想を、四重奏曲を中心に記しておくに留める。
4人は、皆少なからず室内楽の経験はある演奏ではあった。クワルテットのバランスはまずまず取れていたし、アイコンタクトもできていた。
1番の阪田知樹は、うまくまとめてはいるが、煌めきに欠ける。
�，離凜．ぅ�リンの四方恭子は大変音量の小さな方で、それに合わせなければならないという意識があったのだろう。あてがいぶちで相手はプロだとしても、短い練習の時に修正しておかなければいけない。そういう事だって、実力の内だろう。
2.内匠慧(20歳/日本)は、ナイーヴさが音楽の初々しさになって現れていて、好感が持てた。『イスラメイ』は初めて聴いた曲だが、コンクール向きで、曲想に富み、最後の盛り上げには、聴衆から唯一ブラボーが出た。
3.アシュレイ・フィリップ。この人もまとめ方はうまい。しかし、音楽がこじんまりしてしまう傾向がある。テンポとリズムが、センスなく急いてしまった所がほんの僅かながらあった
バルトークや『死の舞踏』のような曲でも、小さくまとまって棘のない演奏、ソフィスティケートされた「怒りの日」。少々魅力に欠ける。
4.オシプ・ニキフォロフは、アンサンブルにおいてピアノを響かせ過ぎ。モーツァルトの軽さやあの時代の抑制感がない。こういうピアニスティックなモーツァルト演奏をする人は、現代では多いのが実態なのだが。あの当時のピアノがどんなものだったか、想い起こしてみる事も大事だ。テンポも所々で崩れた。
ソロ曲の方でも派手なパフォーマンスだが、粗さが目立った。
さて、どんな結果がでるだろうか。
私は本選2日間の内の1日にまた聴きに行く。
ログインしてコメントを確認・投稿する