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2026年02月15日22:26

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「ランニング・マン」を見て。〜” Richards lives”(リチャーズは生きている)のヒーローコールを掛けるのには躊躇する競技中のショートカット〜

翻訳本が出始めた頃は、その数冊中にお気に入り作があった原作者に、直前作まで手ごたえある作品を送り出して来た監督の取り合わせで、一度出版後数年置いた間隔で80年代に映像化された題材を改めて再映画化して。主演を務めるのが、同じリブート作として好感触だった「ツイスターズ」のグレン・パウェル氏と耳にして楽しみに待っていたのだけれど。

ウケる要素しかないだろうと先行公開の欧米の反応を記事で目にすれば、期待されたヒットには至らなかったとか知らされて。「そんなバカな」と疑って掛ったけれど、実際目にしてみて観客動員が振るわないのも納得。


高額獲得賞金を懸けて30日間の逃亡達成を、実況放送で流される。今風には、リアリティ番組って称されて。実際、このコンセプトのバラエティ番組は、我が国にもあるけれど。ただ、笑って済ませられないのは、作品タイトルである劇中の番組「ランニング・マン」では、専従の戦闘に長けたリアルなハンターの捕獲には死がもたらされるうえに、逃亡を阻止した視聴者にも懸賞金が用意されているので、安易に他者を信用できない。それらの様子は如何なる状況下でも、ハイテクでもって中継映像として補足されている。

衆人監視下に置かれて孤立止むなしも怖いのだけれど、そもそも番組の為に人命を奪う事が許される自体、統治機構が歪んでいて。そのうえ切羽詰まって参加してしまうグレン氏扮するブルーカラー職業を内部告発の咎めで解雇されたベン・リチャーズの動機が、幼い娘の治療費稼ぎである通り、文明も政治制度も一般人民には何の奉仕もしていないディストピア世界のお話なのである。

テクノロジーは進んでも、国民の幸福増進は進まず、持てる者とそうでない者の格差は広がって。その目くらましで、ひと握りの人間が「生贄」として番組の中で運命を弄ぶ様子を番組に載せる事で、本来の「問題」から気をそらされる。しかも視聴率獲得のために、映像を加工して「事実」を曲げて届けるのもお手のもので、どう足掻いても、参加者の勝ち目は無いに近い。

此処まで記したお話の「お膳立て」を作品内で知らしめるだけでも、大変なのだけれど。これが、活字だと読者に委ねる手立てもあるけれど。自分が過去に読んだS.キング氏で気に入っている「呪われた町」は、人間ならざる者たちの手に町全体が落ちてゆく件を周到な市井の描写を経てその怖さに慄いたものだっただけに、納得させる描写が必要なところ。

ベン・リチャーズは、このふざけたTVのゲームショーをスタートさせた局のスタジオを後にしてから、全米の街を追手や世間の好奇を掻い潜って放浪する訳だけれど。未見ですが、シュワちゃんの全身タイツのコスチュームは焼き付いている「バトル・ランナー」として映画化された際は、リブートである本作の監督エドガー・ライト氏の談話では、コスト面もあったから局の地下施設のセットで試練を迎えるとして丸めたらしく。今回の映像化で、原作に沿えたらしいのだけど。

持つ者に支配された世界に対する、抵抗勢力がベンに接触して本編としても盛り上がりを起こせるうえに、行き過ぎた政策を推し進める「体制」への反骨を見せる事に作り手の意欲を掻き立てるところが在るのは想像に難くなく。

アクションとしての見せ場も、予算を割いて設けられて。その間、追う側の覆面リーダーとの因縁も仕掛けて伏線を仕掛けつつ。実際に全米で起きた権力側との衝突で命を落とす不幸な事件後の抗議コールではないけれど、「リチャーズ・リブズ」とかグラフィック的に、壁やらにペイント書きされてムーブメントも起きて漸く世間も目が覚めるとか風向きも変わりつつある中、固唾を呑んでこの主人公の逃亡を見守っていたのだけれど。


ゴールまであと少しとなった時に、黒幕役が板についている、参加者の生存権を握る番組プロデューサーにして最高権力者のジョシュ・ブローリンが、最後の「切り札」を土壇場で見せて。先にも書いた通り、事実をカメラの前で告発しても握りつぶされて。時間稼ぎも効かない状況下で、「どうやって、切り抜ける」って説得力の高い「切り札返し」を見せなければならないのに。

子供の薬がその世界で如何に高価であるかを、このレースも関心ない行きずり方にベンが説いて。それで目が覚め縁もない他人なのに協力する行動に、作り手の「思い」が託されたのだろうけど、それが、起動する様が目に見えて判り難い。世界観を積み上げて、アクションものとしてもそれなりに見せ場も作って。正真正銘のS.キング映像化作品を創る意気込みも感じられたのに。

「24時間TV 愛は地球を救う」で、マラソンランナーが、「サライ」に載せて武道館に帰って来る道のり(見てないけど、伝文から想像してます)をショートカットしてしまったためにウソ臭い印象を残すと想像難く無いのと同様、結末での溜飲が下がらない事態となってしまって。全米の興行成績も振るわず、ヒーローコールが響かなかったのも致し方ないのかなと納得いたしました。

抵抗勢力の面々の中で、逆転のキーとなったらしい、超アナログ手段の「事実」を伝える広報誌を刷るコピー機を家に備えていた男が居て。彼のお父さんが、警察官として「善行」に務めるのに嫌気がさして始めたホットドック屋の屋台もコピー機と一緒に遺していて、監督が好きそうなネタなのに。それを活かしたユーモアとか、緩い空気も吹き込んで、もっと監督作らしさも見たかったかなと。

ベンと同時参加した、どうせ死ぬなら刹那的に残りの時間を生きてやるって女性ランナー役の方が、多様性を醸していて。後で調べたら「愛はステロイド」のケイティ・オブライアンさんで、納得しました。「ツイスターズ」でも、グレン・パウェルさんと一緒でしたね。まさか、バーターって事はある訳は、無いか。


拙文にお付き合い頂き、ありがとうございました。
シネマサンシャインららぽーと沼津 シネマ��にて

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