軽い興味本位の観客を排除する、本作鑑賞チケット代「一律特別料金設定」なので、余計に感心ある人達以外には、訴え難い。
モデルの伝説的グループが「カタチ作られる」までを、当時を振り返る老境に入ったメンバーの談話を軸に構成によって見せるのが主旨なのだけれど。1960年代の英国ロック黎明期にあって、好きな音楽、楽器や歌声を聴かせるために腕を磨き、手法を模索して。技能を高める事を、怠らず。「志し」を同じくする者達が、互いの「惹きあう力」によって寄り集まって。
各々の持つ能力を認め合いながら、4人にしかできない「音」を作り、流行歌を売る「業界」のやり方に迎合せず。米国に渡りライブで各地転戦する間に、彼らの演奏を熟成してゆき聴衆の支持を集め、世にその存在を築き上げる。本作が見せる、その「一部始終」は、単なるレジェンド懐古に留まらず、また、「音楽」に係っていなくとも、事を成すのに必要な熱量を問うと共に、これから何かに挑む者たちに火を付けるだろう。
過去や今後も、ミュージシャンのエピソードを下敷きにした伝記映画は、耐えませんが。ドキュメンタリー映画に対しての「慣れ」の度合いも見る人によっては違うでしょうけれど、思いつくような音楽フィクションものにも負けない、エモーショナルな作品だったので、敷居を高くする料金設定が惜しいのですが、本作のモデルの認知に関わらず、お薦めしたい一遍でした。
構成素材として、歳を取ったメンバーの談話画像があるのですが。元々、4人のメンバーですが、その内の3名しか出てきません。それは、1980年代に、ドラマーのジョン・ボーナムさんが亡くなっていて。それを機に、グループの活動も終わっているのですが。本作を撮るにあたって「発掘」された、彼のインタビュー音声があって。
残りのメンバーについて彼が語る部分を、3人それぞれに聴かせる様子を映像に収めていて。それまで、聴き手に乗せられて、興味深い話を聴かせつつ、若い当時に想いを馳せられて。キリッと締ったシャープな昔の顔付きとは違う各々の柔和な笑顔が対照的だったのですが、今はもう居ない盟友にして、欠かせない音楽の才能を持っていたジョン・ボーナムを忍んで目を潤ませる表情が捉えられていて。フィクション映画の練り上げられた構成から与えられる「感動」とは違う、見る人の情感を直撃するワンショットの威力と作り手の思いを、思い知らされるのでした。
拙文にお付き合い頂き、ありがとうございました。
シネマサンシャインららぽーと沼津 シネマ6にて
備忘的に、本編で特に印象深かったシーン。
レッド・ツェッペリン結成前の各々の活動や苦労が紹介される中、「007/ゴールドフィンガー」の主題歌をステージで歌うシャリー・バッシーの姿を映像で見たのも初めてだったのだが。この曲のバックバンドに連ねているのが、ツェッペリンのジミー・ペイジとジョン・ポール・ジョーンズだったなんて知らず。
スタジオミュージシャンとして、ジミー・ペイジが「重宝」されていた頃。立て込む予定をきっちり小型のカレンダー手帳に記録して。しかも、今も取っておいてあるのに驚きだったけど。それをめくりながら、彼曰く。「ストーンズ、D.ボウィの録音にも呼ばれたけど。唯一、ここに書かれていないのは、ビートルズだけだった」と。まあ、向こうにはギターの壁、2枚そびえているし。
4人とは関係ないけれど。当然、米国のリズム&ブルースや、R&Bの影響も語られていて。それらの映像も挿入されるところ。ジェームズ・ブラウンだけど、歌の最中に「お付き」にコートを着せてもらうパフォーマンスって、若い頃から見せていたんだと、確認。
ボーカルのロバート・プラントは、グループ結成前、自分の方向性を模索していて。当時、東洋文化やヒッピームーブメントもあって、王室風の衣装を着て、周りで「お香」を焚いたりして、ミュージカル風にセリフの歌い回しみたいな事をしていた頃の写真をインタビュアに見せつけられて、「お前は、一体何をしていたんだ」みたいに笑っていた。
今となって、その歌詞を見ると、ロバート・プラントが「指輪物語」のゴラムの事を書き込んでいるのが、ありありと判る。
上手い人は、上手い人を認めるのが語りで判るのが、ベースのジョン・ポール・ジョーンズが、「(ドラマーの)ジョン・ボーナムの右足が好きで、それを守りたかった」と語る。右足とはボーナムの叩くバスドラの事で、同じリズム担当の二人として、絶大の信頼が伺われる。
↓予告編画像
https://www.youtube.com/watch?v=pjsSCVuqjh8
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