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2024年03月16日20:18

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【音楽】 アンサンブル「ヴェネラ」演奏会 〜トゥーランガリラ

今日は春を通り越して初夏のような暖かさだった。午後は川崎に、アンサンブル「ヴェネラ」の演奏会を聴きに行った。今日のプログラムは次のとおりである。

 ・メシアン:トゥーランガリラ交響曲

   指揮:夏田昌和
   オンド・マルトノ:大矢素子/ピアノ:大須賀かおり
   会場:ミューザ川崎 (13:30 開演)

アンサンブル「ヴェネラ」は、2年に1回だけコアな演奏会を行っているオーケストラで、しかも今日は1曲のみである。だから、この曲の演奏に全てをかけた演奏が期待できる。

ステージを見ると、ピアノは指揮者の前に置かれ、オーケストラを構成する楽器というよりはピアノ協奏曲のようだが、実際にピアノが重要な役割を演じる曲なのである。

演奏の前に指揮者と2人のソリストが登場して、トークから始まった。作品自体の説明ではなく、大須賀氏とこの曲に関わりから始まり、あとは大矢氏によるオンド・マルトノの説明がメインだった。「オンド・マルトノを聞いたことがある人は?」と問うと、会場の多くが手を挙げたのに驚いていたが、「トゥーランガリラ」を聴きにきた人なら、オンド・マルトノくらいは知っているだろう。いろいろな音を出してみせながらの解説も楽しく、10分ほどで前トークは終了した。

そもそも「トゥーランガリラ」とは何なのか改めて聞かれるとよく分からないところもあるが、サンスクリット語で、「時」や「リズム」、「遊戯」や「愛」といった意味の言葉を合わせたもので、「愛の歌」といった意味合いになるようだ。しかし、甘いロマンスのような「愛」ではなく、「不幸の真っ最中にしかそれを垣間見ないものによって理解される」ようなものだという。なかなか難しい。そして、この10もの楽章からなる長大な交響曲は、それがいろいろな形で絡み合っていくのである。

力強い序奏に始まり、しばらくするとピアノの独奏が始まる。ここで早くも聴きどころの登場だ。オーケストラとピアノに、多彩な打楽器、チェレスタにジュ・ド・タンプル、そしてオンド・マルトノが不思議な感覚を醸し出しながら、展開していく。「愛の歌」の楽章などは、静かにゆったりと流れ、耳を傾けているといろいろな思いが交錯する。第5楽章「星々の血の喜び」は調性をもった楽章でもあり、一番耳に馴染む楽章で、壮大に前半を終える。第6楽章「愛の眠りの園」は、その前の激しい楽章から一転した静謐な感じだが、そこに絡んでいくピアノが鳥の声を意味するのだと、今さらながら気付いた。たしかにメシアンといえば、鳥の声とは切っても切れない関係だ。最後は第5楽章と同じく調性をもった第10楽章で、劇的なフィナーレを迎える。演奏終了後には、ブラボーの掛け声をともに盛大な拍手に包まれた。

この曲の演奏に2年間かけただけのことはある、非常に素晴らしい演奏だった。アマチュアオーケストラのレベルを超えている演奏だと思った。おそらく演奏する側にとってはかなりハードな曲であることは間違いないが、それに挑戦し、じっくりと時間をかけて最高のパフォーマンスを発揮できた演奏だったのではないだろうか。「トゥーランガリラ」を生で聴くのはたぶん初めてだが、最後まで心ゆくまで堪能できた。
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