岐阜城の天守の天井から落ちてきた血は高阪弾正の額にぽたぽた落ち、その光景を見て、武田信廉はにやりと笑った。
「わしを亡き者にしようというお主の企てはすでにお見通しだ、弾正よ!天井裏の曲者は退治したぞ。観念せい!」
「はて、なんのことにございましょう!拙者の預かり知らぬところでご座います。」と
弾正はとぼけた。すでに弾正は天井から落ちてきた血で顔が血まみれになっていた。
「何を寝ぼけたことを言っているのだ。弾正!動かぬ証拠がある。実はな、岐阜城外に待機しているお主の嫡男昌澄がお主の企てを事前にわしに教えてくれたのじゃ。斎藤龍興と手を組んで、天井裏に龍興並びにその家臣の身を隠くさせ、わしの命を狙っていたことは明白な事実である。その知らせを聞き、急ぎくノ一を密かに天井裏に忍ばせ、霧状の睡眠薬をまき散らし、龍興らを眠らせた上、皆を討ち取った。」と信廉は言い、天井の龍の目を目掛けて蹴鞠を投げたのであった。
蹴鞠は見事、龍の目に命中した。すると驚いたことに龍興の首が天井に描かれた龍の目から落ちてきて、その首は弾正の頭を直撃した。その衝撃で弾正は気を失い倒れたのであった。しかし、しばらくすると、弾正は意識をとり戻し、立ち上がった。その後、弾正から奇妙な青い炎が沸き上がり、青い炎は弾正の体全体を包みこんだのであった。そして、弾正は目を青く光らせながら信廉に言った。
「運がいいやつよ、信廉よ!世が誰だか分かるか?世はお主の兄 信玄に討ち取られた信長である!世は成仏できずこの世をさまよっており弾正の体の中で今、生きているのだ。
世は武田を倒さねば成仏できぬ。まずは信玄への見せしめとしてお主の命を奪うまでよ。覚悟せよ!」
その光景を見た信廉の側近は信廉の身を守ろうと信長目掛けて突進していった。
すると信長は突進してくる側近たちに青い炎を投げつけ、青い炎にあたった側近らは青い炎に包まれ、あっという間に体は燃え尽き、骨だけが残ったのであった。
そして、残り信廉一人となった。信廉は覚悟を決めたのか、極めて冷静であった。まさに、信長が青い炎を信廉に向かって投げようとしたとき、信廉は言った。
「信長よ、まだ成仏していなかったのか!相手にとって不足はない。この信廉が受けてた立とう!その青い炎はわしには通用しないぞ!」
「信廉、地獄の落ちろ!」と言い、信長は信廉に向かって青い炎を投げたのであった。
つづく
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