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2023年04月16日17:12

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魅惑のヨーロッパ古城めぐり

「城マスターと行く 魅惑のヨーロッパ古城めぐり」
昨夜BSプレミアムで放送していました。

「城マスター」とは日本のお城に詳しい城郭考古学者の千田嘉博氏。今までもテレビや新聞でお見掛けしていましたが、今回はヨーロッパのお城へ。

1つ目はライン川沿いの古城、マルクスブルク城。
中世の山城です。
白くて厚い壁に紺色の屋根、中心に高い塔がそびえます。
町を守るために作られた防御のためのお城です。なので防御態勢が整っており、日本のお城に通じるものが多いです。まず門を入る前にはね橋があったと考えられています。そこを通ると上から石や熱湯や油を落とすことができる穴。そこを抜けると直角に曲がらなくてはならず直進できない構造。さらに通路の横の壁には狭間があり、矢を射たり攻撃できるようになっています。これは日本の城と同じです。
さらに門が二つあり、三つ目の門を通ると今度は通路が180度回転します。そうなったら後ろから攻撃されます。
これは姫路城と同じで、姫路城も180度回る通路があって後ろから攻撃できるようになっているそうです。

中は中世の城郭関連の博物館です。城主の生活がわかります。

また中心の塔は、以前は最後の立てこもりのためだと思われていましたが、中は狭くて螺旋階段があるだけです。
なので今では領主の権威の象徴であり、強い領主がいることで領民が守られているという安心感を与えることができると考えらるようになりました。確かに城下からはどこからでも塔が見えます。

2つ目はフランスのロワール川下流のエ・ジュラン城。
これは中世初期の木で作られたお城。発掘調査をもとに復元されたもので、当時の暮らしや戦いの様子を体験できる施設になっています。
周囲を濠と木の柵で囲まれています。これを「ベイリー」といいます。その端に盛り土「モット」の上に木製の塔が建てられています。こうした形式を「モット・アンド・ベイリー」といいます。モット・アンド・ベイリーには木造の領主や主要人物の館が建てられています。屋根は萱葺です。
これはまだ国王の権威が弱く、各地の領主が領地をめぐって争っていた時代の産物です。のちの石造の城郭の源流です。

3つ目はボナギル城。フランス南西部に打ち捨てられ半ば廃墟化した城です。
石造りの頑丈な壁に、四隅に太い塔が配置されます。マルクスブルク城のような城を取り囲む城郭や防御の通路はなく、分厚い壁と塔が防御を担います。敵が攻め寄せてくると、壁と両側の塔から攻撃できるのです。
これは十字軍に行った騎士たちが、現地の防御の城郭を見て真似たものです。イスラムの城は厚い壁と塔によって強固な防御が行われていたのです。
この城はフランス革命の時代に領主が追われて、そのまま放置されました。しかし近年この城の近くに住む人が保存活動を始めました。国の文化財と認められ、観光客も来るようになりました。

4つ目はサン・マルタン・ド・レ。
フランス西部の沖合にある「レ島」にある要塞です。「レ島のサン・マルタン」という意味ですね。
かつて貿易で栄え、今はリゾート地として栄えています。
この島の沿岸に作られたのがサン・マルタンの要塞です。稜堡式といって、角が三角に突き出ていて、全体としてみると星形に見えます。函館の五稜郭と同じですね。
城壁の上には何もありません。町にも高い建物はありません。

この要塞が作られた時代は大砲ができた時代。高い塔や建物があると狙われるのです。城壁表面は石で囲みますが中は土手。石の壁は大砲が撃ち込まれると砕けるからです。そして城壁や稜堡に広い空間を取り、町の中まで届かないようにしているのです。
そして三角の稜堡から、攻めてくる敵をいくつもの方向から狙うことができます。

場内に入ることができる門は2か所だけ。
そして海側にも城壁を巡らしています。実際にイギリスやオランダの艦隊が攻めてきたことがあるそうです。城壁からは大砲を設置することもできます。

5つ目はドイツ・ロマンチック街道の名所、ネルトリンゲン。
ここは街を城壁が囲む中世の城郭都市がそのまま残っているのです。
この都市は古い城郭の時代の部分、それが取り払われて外側に新たな城壁が作られた部分から成っています。

ドイツは統一国家が長らくできなかった分、各地に帝国自由都市がありました。番組では「ドイツ皇帝」と言っていますが、神聖ローマ皇帝のことでしょう。名前だけの皇帝が名前だけの皇帝直轄地の名前を与え、実際はほぼ自治都市。

古い部分には革職人の豪邸がたくさんあります。革職人は裕福だったそうな。皮なめしが卑しい職業として賤民扱いされていた日本とえらい違い。皮製品に対する重要度の違いでしょうか。

城壁はよく保存され、内側は回廊になっています。回廊には木製の梁があり、同じ木材で補修が随時行われています。
城壁の内側にはかつて検疫所がありました。ペストなどの疫病が流行した時、この街に入る人は検疫所に1週間隔離され、健康状態を確認した上で街に入ることが許されました。
数年前なら歴史上のこととして聞いたでしょうか、今聞いたら実感ありすぎです。

6つ目はユッセ城。
これは私がロワールの古城めぐりの旅行の時に行ったことがあるお城です。
もとは城塞として作られた、分厚い壁と塔を備えたお城でした。しかし壁の一部を取り払って中庭にして、さらに増築して華麗なお城に変身しました。
城壁があった時代の門の跡もあるのですが、番組では紹介されませんでした。
戦闘がなくなって、貴族の住居として絵にかいたような華麗な「お城」になりました。
ここは城主が住んでいます。ブラカス公爵と言います。公爵の若い子息が内部を案内してくれました。

もとは城主の祖母が住んでいたもので、祖母が亡くなって城主が受け継ぎました。息子も妻がいて、小さな子供もいます。

マンサールの華麗な階段…うっとりしながらここを上がったことを思い出します。タピスリーの掛けられた通廊。
そして国王の部屋。
当時の貴族は国王のための寝室を用意しておかなくてはいけなかったのです。しかし国王はこの城には来ず使われないまま。

あと、公開されていないプライベート部分です。公爵子息の仕事部屋になっている書斎にはアンティークの本棚に古い本がびっしり。古そうなテーブルにパソコン。
地下にはワインセラーがあり、古いヴィンテージワインがずらっと並んでいます。

今後公開したいと思って準備している部屋にも案内されました。
城主のおばあ様が住んでいた部屋です。
貴重な革製の壁紙。アンティークの素敵なベッドや家具もありますが、そこは20世紀に住んでいた人の部屋です。細々とした生活用品は現代のもの。あちこち傷んでいるので、修復して当時の生活がわかるような展示にしたいということです。
いいなあ〜、公開されたら見てみたいなあ〜。

年代ごとにお城の変遷がわかるのが興味深い番組でした。

最後にバイエルンのニュフェンブルク城がちょっと紹介されました。戦闘とは全く無縁の宮殿です。塔も城壁もない、華麗な装飾に彩られた宮殿。

華麗な宮殿を紹介するのに、ベルサイユ宮殿を持ってこないところがおもしろいなと思いました。
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