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2022年11月05日20:31

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風林火山伝 第2部 第30話  小谷城落城

浅井長政は小丸にいる浅井久政、朝倉義景がこの世を去ったことを密かに悟り、久政、義景の冥福を祈った。そして本丸が消失するのも時間の問題であり、長政にも死が迫っていたのである。

長政はお市を呼び、戦国の習いとして、長政自身、自決する意をお市に示し、別れを告げたのであった。

お市は「長政様が自決するのであれば、このお市も長政様とともにあの世に行きとうございます。」と涙を流しながら言った。

「いかん。お市がこの世を去ったら、茶々、初、江はだれが育てるのじゃ。つらいと思うが、三姉妹の母としてこれからもわしのために生き延びてくれるか。すでに武田方には
お市と三姉妹を保護するよう話はつけてある。」

「いやでございます。茶々、初、江と一緒に長政殿と一緒にあの世へ参りたいと思います。」とお市も覚悟を示し、長政に強く懇願した。

「ならぬ!わしの無念をお市に託したいのじゃ。必ずや生き延びて、浅井の血を後世に残してほしいのだ。わしはお市らをあの世で見守っておるぞ。お市と出会えて長政は果報者よ、愛するお市よ!さらばじゃ!」と言いながら、長政は切腹し、みずから命を絶ったのである。浅井長政は享年28歳の若さでこの世を去ったのであった。

それをみたお市は長政のあとを追うため、短剣にて首を突き刺そうとしたとき、武田の使者 武藤喜兵衛が本丸に現れ、お市の手から短剣を奪い取り、お市の自害を食い止めたのであった。

「お市さま、なりません。長政殿の死を無駄にするのでございますか。長政殿は自らの命と引き換えに、お市様、三姉妹のお命、さらいは次期将軍 義永様のお命をお救いになったのでございますぞ。今後は、武田が手厚く庇護いたしますゆえ、ご安心なさりませ。決して、悪いようにいたしません。」と喜兵衛は言い、急ぎ、お市たちを本丸から避難させたのであった。お市たちが避難するやいなや、本丸は完全に火に包まれ、焼け落ちたのであった。

そして、喜兵衛は必至の思いで、小谷山をかけおり、無事、お市、茶々、初、江を非難させ、武田勝頼のもとに連れていったのであった。しかし、その場に足利義昭の隠し子である旗印の義永の姿はなかったのであった。義永は小谷城から逃げる途中、喜兵衛の家臣のものに手をかけられ、この世を去ったのであった。

                                 づづく









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