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2022年07月24日06:25

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風林火山伝 第二部 第15話  義昭の隠し子 千王丸

朝倉義景は3月13日夕刻 一乗谷に戻った。義景は温泉に入り、長旅の疲れを癒していた。そんな中、京より義景のもとに一通の書状が届いたのであった。そして、義景は温泉から上がったあと、その書状に目を通したのであった。

義景は、その書状を読むやいなや、怒りをあらわにして山崎吉家に言った。
「公方様がお亡くなりになられた。そして、次期将軍は亡き公方様の幼子 義尋で、
その後見役は武田信玄が担うと書かれてある。あの公方様の死因は病死と書かれてあるが、数日前、公方様にお目にかかったときには、とてもお元気であられた。とても病死とは信じられぬ。おそらく公方様の死は信玄の仕業に違いない。信玄に操られた足利幕府を認める訳にはいかぬ。京より帰ったばかりではあるが、急ぎ戦の準備をするのだ!倒すべき相手は信玄である。」

「殿、気を落ち着かれなされませ。我らが旗を上げても戦の大儀名分はなく、信玄には勝てませぬぞ。」と吉家が必死になって義景をなだめた。

「実はな、吉家。わしには亡き公方様の隠し子を預かっているのだ。よくわしに叔父としてなついている千王丸であるが、亡き公方様とわしの長女しのとの子として生まれたのだ。この千王丸こそが次期 将軍 になるお方である。」と義景は言い、待女が千王丸を連れてきたのであった。

「これは!これは!千王丸の父上が亡き公方様とは夢にも思いませんでした。私はてっきり、光秀との間にできた子だと思っていました。よく見れば亡き公方様に似ておられますな。亡き公方様がこの越前にご滞在のおり、殿の長女 しの様に手を出すとは、亡き公方様はかなりの女好きでございますなあ。」と驚きながら言った。

「表向き上は光秀の隠し子としていたが、実はわしは、亡き公方様が我が娘 しののもとへ数夜にわたり忍び混んでいたことは家臣より報告を受けていた。そして、内心、亡き公方様としのとの間に子を授かることにより、朝倉家が今後の足利幕府の実権を握る好機になるかもしれないと思い、見て見ぬふりをしていたのだ。今となってその好機が訪れるとは願ってもないこと。この千王丸こそが正当なる次期将軍である。千王丸を総大将として、足利幕府を欲しいものとする信玄を成敗するのだ。吉家、急ぎ、小谷の長政にも戦の準備をするよう使者を出してくれるか?」と義景が言った。

その後、吉家は小谷の浅井長政に急ぎ、使者を送った。そして、長政も足利幕府から次期将軍を知らせる書状を受け取っており、亡き義昭の死因、次期将軍の後見役に武田信玄を
据えることには疑問を抱いていたのであった。

信玄は、足利幕府より次期将軍 足利義尋の後見役を拝命したことを受け、義尋に謁見するために二条御所に赴くとともに、自ら次期将軍の後見役を拝命を受けたことによる諸大名の動きを探るため、特に上杉謙信、朝倉義景、浅井長政、毛利輝元、北条氏政などに忍びを放ったのであった。

伊賀城の織田信忠のもとにも足利幕府より義昭の死並びに次期将軍に義昭の幼子 義尋が
就任する旨の書状が届くと同時に、京に放っていた忍びより、此度の義昭の死因は明智光秀がひそかに義昭を暗殺し、また信長の霊がどこかへ消え去ったと信忠に伝えられた。
また、信長の霊が信忠の前に現れ、光秀にやられた。憎き光秀を討と取ってほしいと信忠に言い、再び、信忠の前から消えたのであった。

そのころ伊勢長島城を3月12日に兵3千を従え出陣した羽柴秀吉は13日夕刻、伊賀上野城に入城したのであった。なんと秀吉も伊賀上野城に向かう途中、信長の霊が表れ、義昭の体にのりうつり生きていたが、光秀は義昭を亡き者にし、義昭の体から世の霊を追い払った。あの憎き光秀を討と取ってほしいと言い残して消えたのであった。


                                   つづく



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