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2022年04月24日20:24

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【音楽】 東京交響楽団演奏会 @ミューザ川崎

夏日だった昨日と比べると、今日は過ごしやすい日で、午後には雨となった。今日は川崎にコンサートに行った。東京交響楽団の川崎定期演奏会である。

今日のプログラムは次のとおりである。

 ・サロネン:へリックス
 ・ラヴェル:ピアノ協奏曲
 ・ラヴェル:高雅で感傷的なワルツ
 ・ストラヴィンスキー:火の鳥 (1919年版)

   指揮:リオネル・ブランギエ/ピアノ:リーズ・ドゥ・ラ・サール
   会場:ミューザ川崎 (14:00 開演)

フランス出身の若手指揮者とピアニスト。どちらも初めて演奏を聴くが、期待してよさそうだ。

1曲目は、サロネンの「ヘリックス」である。サロネンの作品はCDを数枚持っていて、いくつか聴いていたが、この曲は初めて聴く。そもそも「ヘリックス」とはどういう意味なのかと思ったら、「螺旋」ということらしい。タイトルを意識して聴くと、なんとなく雰囲気が分かる。演奏はゆったりと始まり、そのままずっと続いているようでありながら、気が付けば高揚しており、最後に弾けて終わるような感じで、なるほど螺旋状に登っていたのだなと思う。なかなか面白い曲であった。

続いてはピアノのドゥ・ラ・サールが登場して、お馴染みの名曲、ラヴェルのピアノ協奏曲だ。両手で演奏するト長調の方である。何度も聴いているような気がしたが、生で聴いた記憶がない。おそらく初めてかもしれない。(「左手」は生でも聴いたことがある。)  ドゥ・ラ・サールのピアノは、しっかりと地に足のついたような演奏で、ラヴェルのこの作品が、ふんわりひゃらひゃらと宙に浮いた曲ではなく、古典に根差したものなのだということを、気付かせてくれるようであった。ジャズの要素を取り入れたりはしているものの、構成としてはきっちりとした作品なのだ。同じフランス人同士ということもあってか、指揮者との相性もよいようだ。第2楽章は、前半はピアノのソロだけで演奏されるが、ここが実に素敵だった。聴いていても実に心地よい。第3楽章では一気に弾けて、そのままエンディングに突入する。やはりこれは名曲だなと再認識した。

このあと、アンコール演奏があった。日本語で「アリガト」のあと(ここでまた盛大な拍手)、ショパンのノクターン嬰ハ短調を弾いた。ショパンのノクターンの中でも、番号が付いた曲以上によく演奏されるような気がする。やはり名曲なのだろう。ラヴェルの協奏曲の時とはまた雰囲気が違って、しっとりとした演奏を聴かせてくれた。

休憩のあとは、再びラヴェルだ。「高雅で感傷的なワルツ」も、実は管弦楽版を聴くのは初めてだと思う。ピアノ版でしか聴いたことがない。8つのワルツから成り、シューベルトへのリスペクトから生まれた作品だそうだが、ラヴェルならではの「高雅で感傷的な」曲集であるといえるだろう。1曲1曲は短いが、バリエーションに富んだ8曲である。1曲1曲を区切っての丁寧な演奏で、じっくりと堪能することが出来た。

最後はストラヴィンスキーの「火の鳥」組曲だ。1919年版というのは1911年版と違って2管編成とコンパクトであり、7曲から成る組曲だ。以前、CDで聴いても途中退屈していたが、あるアマオケの演奏会で生で聴いたらファンタジー豊かな楽しい曲だと気付いた、と書いたことがあるが、その時以来の「火の鳥」だ。

ストーリーは、王子イワンが火の鳥の魔法の羽根を得て、捕らわれていた王女を助けて結ばれる、という分かりやすいものである。「序奏」、「火の鳥とその踊り」、「火の鳥のヴァリアシオン」、「王女たちのロンド」、「カシスチェイ王の魔の踊り」、「子守歌」、「終曲」の7曲だが、序奏の怪しい雰囲気にはじまり、飛び出す火の鳥のまばゆい光、穏やかな王女たちの踊り、荒々しい魔王の踊り、そして優しい子守歌を経て、めでたしめでたしの終曲と、やはり今日も最後まで楽しめた「火の鳥」であった。そこはさすがプロの、素晴らしい演奏だったこともあるのだろう。

帰る頃には少し雨が強くなっていたが、川崎駅には傘を出さずとも行ける。演奏の余韻に浸りながら駅に向かい、南武線で帰った。いい気分で日曜日を終えると、月曜日からの活力にもなる。
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