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2021年08月29日07:23

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風林火山 第59話 恐るべき狐の猛毒

羽柴秀吉が倒れた時には意識を失っていた。秀吉は家臣により伊勢長島城内に運び込まれ、床につき、とても出陣どころではなかった。その後、薬師が秀吉の手当をした。

薬師の言うには、狐は猛毒を持っており、狐の噛まれたことにより、体内に毒がまわったとのことであった。そして、最悪の場合には命を落とすことがあり、狐の猛毒に打ち勝つには本人の気力しだいとのことであった。そして、もし回復しても、回復にはかなりの月日が必要であり、出陣どころではないことのであった。

その後、緊急に伊勢長島城内にて軍議が開かれ、羽柴秀長が秀吉の代役として、羽柴軍を率い、織田信長の軍に加わることを決まった。そして、秀吉の病が回復するまで、伊勢長島城で養生することとなった。羽柴軍としては、大将の秀吉が病で倒れ、羽柴軍の士気が下がることが予想され、かなりの痛手を被った。

そのころ、武藤喜兵衛は千代保稲荷の武田信廉の陣に戻り、信廉に「秀吉捕獲作戦に失敗したこと、誠に面目ございません。しかし、実は、巫女に化けた府月の狐は猛毒を持っております。そして秀吉は巫女を連れて帰ったようでございます。うまくいけば、巫女は狐の姿に戻り、狐は秀吉に噛みつき、秀吉に毒がまわり、亡きものになるものにさせることでございましょう。」と言った。

信廉は「もし、秀吉が倒れれば、京での織田信長の決戦では羽柴軍の戦力が落ち、武田軍は優勢になるな。」と喜んでいった。

その後、しばらくすると、府月の狐は千代保稲荷に戻ってきた。喜兵衛は府月に対して「秀吉に噛みつくことができたか?」と聞くと、府月は「コーン、コーン」と明るい声で鳴いた。

喜兵衛は「成功したか! 府月、よくやった。褒美だ。食え。」と言い、揚げではなく、猪の肉を府月にやり、府月はうまそうに猪の肉を食べた。

そして、喜兵衛は忍びのくノ二を呼び、その後の伊勢長島城の秀吉の様子を探るよう命じたのであった。

その後、秀吉はずっと病に伏せったまま意識の戻ることなく、「おね、すまぬ!」と譫言をいいながら、病と闘っていたのであった。秀吉の病の回復の兆しはなかった。

伊勢長島城内にいるおねは、秀吉が危篤との知らせを家臣から聞き、急ぎ、秀吉のもとへ行き、秀吉の看病をした。おねは、秀吉がひそかに府月の狐が化けた巫女と浮気して、それが原因で病になった事実は知らなかったのであった。

  つづく

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