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2021年08月22日06:24

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風林火山伝 第58話 秀吉倒れる

羽柴秀吉は、巫女の府月を抱きしめ、白装束を脱がせた。府月の肌は白くつやつやしてとても綺麗であった。そして、秀吉が府月の肌を舐めようとしたとき、府月の目が赤色に光り、肌から突然、毛が映え始め、肌全体が狐の肌に変わり、もとの狐の姿に戻ったのである。そして狐に戻った府月は秀吉の右手に噛みついたのである。

秀吉は「いたい、はなせ!なんじや、この巫女は。狐ではないか!わしは、この狐と一夜を過ごしていたのか。くせものだ、誰かおるか?」と驚きわめいた。秀吉の近習は秀吉の大声に気付き秀吉のもとへ来るやいなや、府月の狐は人の気配を感じ、素早く逃げで行った。秀吉の右手は狐に噛みつかれた歯形が残り、そこから血が流れていた。

近習は「いかがされましたか?大事はございませんか?」と秀吉に言った。

秀吉は「大事ない。先ほど野良犬がわしのところへ忍び込んできて、わしの右手を噛みつきよった。そちが来てくれたおかげで、野良犬は逃げ去ったわい。礼を言う。」と近習には巫女に化けた狐の事は話さなかった。

一方、その朝の3月5日、武田軍の山県昌景ら率いる先発隊約8千、明智光秀の5千の京護衛隊か織田信長と決戦に挑むため、小谷城を出発したのてあった。

また朝倉義景率いる約1万の軍は栃ノ木峠を越え、木ノ本付近まで兵を進めていた。
義景は「昨年の冬は雪のため、やむを得ず撤退せざることとなり、信玄殿の期待に添えず無念であったが、こたびこそ信玄、長政と力をあわせ、信長を撃ち取ろうぞ。」と山崎吉家に言った。

吉家は「信玄公が小谷城にて我が軍の到着を首を長くして待ってございます。我が軍は栃ノ木峠を越え小谷城まではあと四里あまり。昼すきには小谷城へ到着の予定にごさいます。」

「信玄殿に会うのが楽しみである。なんとしてもこたびは信玄殿の力になりたいものぞ。そして、あわやくば、我が軍が信長を倒し天下の主導権を握りたいものだ。」と義景は言い、秘かに天下の野望を持っていたのであった。

伊勢長島城では秀吉が信長軍に合流すべく、伊勢長島城を出発しようとしていた。
秀吉は「これから我が軍は武田軍と京にて決然を挑むべく、上様の軍に合流するため、急ぎ出陣・・・」と言いかけたとたん、意識を失い馬から転げ落ち着た。
それをみた秀長は「兄じゃ!いかがなされました。」 と言い、秀吉のもとへ走りよって行った。秀吉はかなりの高熱であり、なんと狐に噛まれた右手がひどく腫れていたのであった。
                 

                                つづく


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