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2021年06月18日01:38

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「ミッテランの帽子」

「ミッテランの帽子」
アントワーヌ・ローラン:著
吉田洋之:訳
新潮社

ミッテランとは、フランスの元大統領。
1980年代、ミッテランが大統領だった時代のパリ。
会計係のダニエルは、妻と息子がバカンスで妻の実家に行っている間、一人でブラッスリーへ行った。請求書や数字のストレスを忘れようとして、普段は行かないようなお高めのブラッスリーで贅沢な夕食を奮発した。そうしたら、隣にやってきた客はミッテランだった!
ミッテランが食事を終えて立ち去るまでねばっていたダニエルは、隣の席に置き忘れた帽子があることに気が付く。
どういう出来心だったのか、彼はその帽子を自分のもののようにかぶって店を出てしまったのだ。

その後、その帽子は数奇な運命で人の手から手へと渡っていく。
そうして、その帽子を手にした人たちの人生に変化をもたらしていく…。

帯に「大人のための幸福な物語」とあるように、帽子を手にした人たちの運命にワクワクしながら読み進んでしまいました。そうして物語は思いもかけない方向へ着地します。

ルーヴル美術館のガラスのピラミッドが新奇に過ぎて批判されていたり、1980年代のパリの情景が描かれていることも含めてパリに生きる人の生活が描写されて「パリ〜♪」という気分になります。
訳者あとがきによりますと、ルーヴル美術館の改装も、オルセー美術館の開館も、グランド・アルシュ(新凱旋門)の建設も、ミッテラン大統領の「グラン・プロジェ」というパリ改造計画の一環だったということです。

パリを舞台にした、とっても素敵な物語でした。
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