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2019年05月19日09:27

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詩『深海からの泡』

意識は海の底の底。 深海。 光りも届かない。 水圧で抑え込まれて指も動かせず

 生まれる一つの泡。 儚くも確実な一つのそれ。 見上げて浮かび上がる。

 
 私は昇る。 世界は色を僅かに変える。 

光りに追いつく。 何も無かった世界に魚達が出てくる。 

 それでも心は重い。 まだH2Oに捕らわれてる。 がんじがらめ。 それでも私は昇る。 

 ゆっくりと。 ゆっくりと。 


 配色は徐々に暗闇から青色の比率を増やしながら。 

目指す先には隔たれた境界線 泡は水面に触れた。 そして解き放たれる。

 はあ〜(大きく一呼吸する)

 一変する視界。 濃密な水中空間から広大な酸素で満ちた世界。 
 
 息を一つ吸って吐けば単一から無限のそれと同化。

世界は、ああ世界はこんなにも明るく果てしなく、そしてどこまでも青く光り輝いてる

 あんなにも私を捕らえていた懐かしき海を振り返ることもなく私は空を飛ぶ

どこまでも。どこまでも。

あのはるか先の球面の先の地にはきっと何かがあるはず。

思って私は飛ぶ。 行けるところまで。


浮かび。 浮かび。 浮かび続けて。 

やがてたどり着く日の光り

焦がされ溶けてゆく私。

 神話の誰かのようにとろけてばらけて灰になり

トプンと海に叩きつけられる泡沫の末路。

 まとった光りも剥がされて

ばらばらに。ばらばらに。

私、闇に暮れて染まり沈んでいく底の底

それでもいずれまた浮かびあがる。

水の上は広くて途方も無い。 その先にいつか辿り着けるまで

一つの泡をまた吐くでしょう


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