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2018年12月23日20:38

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【音楽】 狼と蝶 〜シサスク「赤道の星空」演奏会

今年も残すところ約1週間となった。今日は小雨がちの天気ではあったが、おそらく年内最後となるであろう演奏会に行った。

「狼と蝶」と題する、秋場敬浩さんと吉岡裕子さんのピアノによる、エストニアの作曲家ウルマス・シサスク(1960-   )の作品の演奏会である。今回演奏するのは「銀河巡礼」第4集「赤道の星空」全22曲である。全曲演奏するのは、今日が世界初演である。

ということで、今日のプログラム。

 ・シサスク: 「銀河巡礼」第4集「赤道の星空」全曲

   ピアノ: 秋場敬浩/吉岡裕子
   会場: 両国門天ホール (15:00開演)

両国は国技館もあり、駅周辺も江戸情緒たっぷりなので、早目に行って散策しようとも思ったが、雨なのでやめた。両国門天ホールは初めて行くが、50人ほどで満員になる小さなホールで、演奏者との距離も近くて好ましい。

今回演奏される「赤道の星空」は、シサスクが全ての星座についての曲を作るという、その一環であり、すでに「北半球の星空」、「南半球の星空」は実演でも録音でも聴いている。(いずれも秋場さんと吉岡さん。このお二方以外に日本でシサスクを弾ける人はいないのだろうか?) 「赤道の星空」は日本人には馴染みのない星座も多いし、ましてエストニア人ならなおさらだが、シサスクは赤道の国々を旅して、作曲の構想を練ったのである。完成した作品は、秋場さんと吉岡さんに献呈されている。副題は「狼と蝶」であり、シサスク氏によれば、秋場さんが狼、吉岡さんが蝶のイメージらしい。吉岡さんは、今日は蝶の模様のついたマントを羽織り、蝶のイメージを形にもしている。

演奏は交替で行われる。たかぎひろみちさんによる曲目の説明が物語的に語られてから演奏に入る。各曲のタイトルと演奏者は以下のとおりである。各章には神話がイメージされ、さらに曲毎にもイメージがついている。プログラムから書き写しておく。これを書けば曲の説明は十分だろう。

第1章:フェニックスについてのギリシャ神話 (吉岡)
  1. ほうおう座「苛立つ蝶」
  2. ろ座「神秘的な色」
  3. ちょうこくしつ座「眠れる美」

第2章:マリ共和国の物語 (秋場)
  4. ちょうこくぐ座「寺院への旅」
  5. ぼうえんきょう座「優しいタッチ」
  6. けんびきょう座「優しい応え」

第3章:ヒッタイト王国の伝説〜雷と蛇〜 (吉岡)
  7. ろくぶんぎ座「愉快な狼」
  8. ポンプ座「強さを増して」

第4章:ナヴァホ・インディアンたちの宇宙創造 (秋場)
  9. てんびん座「ティンタブルの触手」
 10. さそり座「・・・威力」
 11. おおかみ座「蝶あっての狼」

第5章:中国の謎の天地創造  (吉岡)
 12. やぎ座「うぬぼれ狼」
 13. コップ座「クララの脚」
 14. がか座「ちょっとロマンチックに」

第6章:インディアンのツィムシアン族に伝わる太陽と月の物語 (秋場)
 15. たて座「鋭い剣」(トッカータ)
 16. みなみのうお座「孤独に漂って」
 17. うお座「解決に至る」(星空への讃歌)

第7章:パプアニューギニアの星界物語 (吉岡)
 18. らしんばん座「夢見る者の幻影」
 19. じょうぎ座「クイッティ•フイッティ」(プレアデス星団の背後に息づく生命)

第8章:いて座を巡るギリシャ物語 (秋場)
 20. つる座「しのびの狼」
 21. みなみのかんむり座「魔法の真珠」
 22. いて座「さらなる未来へ」

「ほうおう座」と「うお座」だけは、7月の秋場さんと吉岡さんの演奏会で、今日の予告を兼ねたアンコール演奏で聴いたが、たしかに聴いたような記憶が蘇る。「赤道」は、「北半球」や「南半球」よりも、割と耳に残りやすいメロディーが多いようだ。

シサスクと秋場さんと吉岡さんの、音楽を通じた強いつながりで、作曲者と演奏者が一体となって出来た音楽である。あえて演奏会を急がず(シサスク氏から早くやってねと催促があったらしいが)、納得のいくまで仕上げた演奏である。シサスク宇宙に客席50人を連れていってくれた素晴らしい演奏であった。最後に会場の全ての照明を消して真っ暗にするという演出も効果的だった。

演奏会終了後に吉岡さんに挨拶した。「蝶のイメージが、美しく優雅にヒラヒラではなく、激しくバタバタ羽搏いているようですね」と言ったら、「実はそうなんですよ。国が違うと、蝶のイメージの捉え方も違うんですよね」とのことだった。吉岡さん、蝶の模様のマントがすっかり気に入ったよう(?)で、ずっと羽織っていた。
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