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2018年03月12日01:00

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唐代胡人俑

なかなか行く暇がなかったんですが、終わる前に何とかと思って行きました。

そもそも「胡人俑」だなんて、ほとんどの日本人にとって知らない言葉じゃないかと思うんですが、これをテーマにして特別展をブチ上げた東洋陶磁美術館、エライ。インパクトのある豹柄パンツの俑をチラシに配して「なんや、これ」と人目を惹きつける戦略です。

まず「胡人」とは、西方の異民族のことです。特に唐代(西暦618〜907)では東西交渉が盛んで、西方の珍しいものがたくさん入ってきて、都の長安では西域ブームが起きていました。それをもたらしたのが主にソグド、つまり旧ソ連領中央アジア5か国(カザフスタン、トルクメニスタン、ウズベキスタン、タジキスタン、キルギスタン)から来た商人たちでした。ソグド人はイラン系の民族で、彫りの深い顔立ちをしていました。

そして「俑」とは、日本で言えば埴輪のようなもの。皇帝や貴族のお墓に埋められた「人形(ひとがた)」です。もっとも有名なのは、秦の始皇帝の兵馬俑です。兵馬俑は等身大ですが、中国で等身大の俑が作られたのは始皇帝のお墓のみ。通常は4〜50センチ、大きくても1メートルぐらい。秦代以降の皇帝や貴族のお墓に大量に作られて埋められました。

さて、今回の展示では甘粛省慶城県で発掘された遊撃将軍・穆泰の墓から多くの胡人俑が見つかったので、それが日本に来ています。馬やラクダもたくさんあって、胡人の俑はその馬やラクダを引いているようなポーズをしていることが多いです。正倉院の伎楽面のように鼻が突き出た造形、立派なあごひげや高い頬などかなりデフォルメのきいた造形です。中には鼻毛まで描かれているものも…。胡人の着ている服は「胡服」といって、えりを折り返して三角になっているものが多いです。さらに襟の端から服の中心線にかけて鮮やかな宝相華模様が描かれています。

唐代の俑はさんざん見てきましたが、今回はあまり見たことのない造形のものも多かったです。へらのような平たいあごひげと太鼓腹をむき出しにしたものや、芸人を表したものではないかと言うものなど。

それとは別に女性の俑もありました。朱色の胡服を着た像は一見男性のように見えますが、しなやかな姿態や穏やかな表情などから女性像だと思われます。唐の時代は男装をする女性も多く、俑や壁画などによく見られます。そして胡服を羽織る形のものが2点。両肩に羽織っているもの、片側に羽織って片袖を落としているもの、いずれも他でも見られる服装です。

そのほか牛など家畜の俑もありました。

同時開催「中国陶俑の魅力」展もやってました。
典型的な唐代のファッションをまとった女性の俑。
騎馬の女性。唐の時代は女性の乗馬も流行っていて、女性の騎馬の俑もたくさん見つかっています。
邪鬼ではなく動物をふんずける三彩の天王俑。鎮墓獣。

そのあとは常設展です。目的地は自然採光の部屋。宋代青磁の最高傑作、汝窯の水仙盤と砧青磁にうっとり。水仙盤もきれいですが、砧青磁のとろりとした釉薬の光り具合は何度見ても飽きません。

さて、4月からはフランスのセーヴル焼きの特別展が始まるそうな。
また東洋陶磁美術館に行かないと…。
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