・小野政次が井伊谷城を開門し、徳川軍に城を開け渡ししようとしたとき、何者かが、徳川軍に矢を射かける。政次は井伊直虎の進言により、井伊谷城を再び閉門する。
・井伊直虎は酒井忠次に対して、井伊家再興を願う。一方、忠次は徳川軍に矢を射かけたのは小野政次らで、徳川家康の寝首をかくつもりであったのではと非難する。
・小野政次となつらは川名の隠し里へ逃げる。
・徳川家康は井伊谷城に入城。井伊谷三人衆は家康ににわかに何者かに襲われたことを報告する。そして、近藤康用は小野政次が仕掛けたと主張。また、鈴木重時は、井伊直虎を許した方がよいと進言する。そんなおり、武田信玄より家康のもとに書状が届き、武田軍は駿府を落とし、今川氏真は掛川城に逃げたので、急ぎ掛川城を攻めよとの内容であった。
・井伊直虎は牢に入れられる。そんな中、徳川家康が直虎の前に姿を見せるが、直虎対して土下座するだけで何も言わず、その場を去ってしまう。
・中野直之は、近藤康用の一味が徳川軍に矢を射かけた後、逃げていくところを目撃し捕えようとするが、一味は自害し、証拠を隠滅してしまう。
・徳川家康本軍は掛川城へ進軍。井伊谷城は、近藤康用に任せられることに。
・南鶏和尚は近藤康用に井伊直虎を牢から出すよう頼むが、康用は小野政次と引き換えなら、直虎を牢から出してもよいと答える。そして和尚は牢に入っている直虎に対して、政次をどこに逃がしたか問い詰めるが、直虎は政次は何もやってないとの一点張りである。
・南鶏和尚は、龍雲丸に井伊直虎を牢から逃がすよう頼み、龍雲丸は快く引き受ける。そして、牢にいる直虎には、龍雲丸が助けに行く旨の連絡が届く。そんな中、近藤康用に捕まった小野政次が牢に入れられ、その代わり、直虎は牢から出される。政次は直虎に対して、もう少しで徳川家康の首をとれたと、あくまでも徳川に敵対する態度を示す。
・牢から出された井伊直虎は、龍雲丸に頼み、小野政次を牢から逃がすよう頼む。龍雲丸は、政次を牢から逃がすために助けに行くが、政次は、このまま牢に入れられ、井伊の仇となり、斬首となるのが本懐だと言い逃げようとしなかった。龍雲丸は直虎に対して、政次が逃げないのは、直虎を守るためだと諭す。
・小野政次が磔になる知らせを聞き、井伊直虎、南鶏和尚らは政次の磔場所に向かい、政次の最後を見届ける。そして近藤康用の手のものにより政次がまさに殺されようとするとき、直虎が槍を握り、政次の胸を槍で刺しながら、「地獄へ落ちろ、よくもここまで我を欺いてくれたな!政次の卑劣な行いを未来永劫言い伝える」と叫ぶ。それに対して政次は「やれるものやらやってみろ、地獄の底から見届けてやる」と言いながらこの世を去る。そして政次は辞世の句として、「白黒をつけんと ひとりまつ あまつたう日ぞ たのしからずや」を残す。
(感想)
・近藤康用は、この機会に井伊谷城をわが手のものにしようと、いかにも小野政次が攻めたように見せかけ、井伊谷城を手に入れたのに加え、政次に恨みを抱いていたとしか思えません。
・徳川家康は、家臣たちの手前上、近藤康用の謀を指摘できず、井伊直虎と約定した井伊家再興の約定を果たすことができないと見ました。そのため、家康は何も言わず牢に入っている直虎に対して、土下座したと理解しました。
・小野政次は、このような結末になった以上、自分がすべての責を受け、命がけで井伊家を守ろうとする姿がよく見えました。
・最後に井伊直虎が磔にされた小野政次を槍で刺すところ、悲しいシーンでしたが、命がけで井伊家を守ろうとする政次の意をくみ、涙を呑んで直虎は政次を槍で刺したのだと思いました。
次回 隠し港の龍雲丸
ゆかりの地 静岡県 浜松市 小野政次供養塔
JR浜松駅下車 バス 下町下車 すぐ
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