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2016年04月21日20:23

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「サイコパス 冷淡な脳」

注文してた本が今日来たので早速読んでみた
とりあえず9章のうち7〜8章はかなり専門的な脳神経の反応系の話であるから結論的な部分だけ飛ばし読んだかんじだ
期待した内容は十二分にあった

今回 この本を読んだ動機は
あたいの持論である「普通選挙制度やめてジャンケンにしろ」を補強する意味合いがあった
まー 政治家になろうなんてのはキチガイに決まっとるという
我ながらどーしようもない説だw

よくヒトラーやスターリンあるいはその他独裁的な政治家の多くはサイコパスであった可能性があるみたいな話がある
他にも ブラック企業の社長や優秀な兵士なんかもそうだというような都市伝説みたいな話だ
確かに 他のサイコパス関連の書籍には
それに近い事が書いてあるようだし
その書評なんかを見ても
「あたしの身の回りにもいてひどいめに遭いました」的な文言が並ぶ
まー あの手の書籍を読もうと言う動機付け自体がどこかに自分の境遇の原因を明確化してもらいたいという一種の補填を望んでいるというのがあるので
それはそれで役に立っているのかもしれんw

本書はそのような具体的な話は全くない
ひたすら科学的な見地からの脳機能に対する知見から考察されている
したがって なんかこーセンセーショナルなトピックスは全くない
ざまあみろ おれw

サイコパスという定義があるからには
サイコパスとよんでもいい人々が存在する
ではどのようにサイコパスを定義するか
そこから本書は入っていく
サイコパスとは本書によれば
「サイコパスとは情動障害である」
という定義だ
よって反社会的人格障害や行為障害とは一線を画す
情動障害とは他者の感情に対する共感が著しく欠如しているということだ
わかっててやるわけではない
悪事をなそうという覚悟もない
飛び越えるべきハードルがない
相手がどれほど悲しむか痛むか不自由になるか
そこに何の想像も及ばない
そういった「病気」だ
しかも現在治療法がない
この人がサイコパスであるという診断はほぼ可能なのにも関わらず
それに対処する方法論はない

その情動障害がどのような関連する考え方感じ方に変化を及ぼすか
それが反社会的行動にどのように現れるのか
そんな話が緻密に
そして思いがけないほど「誠実に」書いてある
さすが第一人者であり科学者だ

「誠実に」とは
いわゆる旧来の学説やけっこうショッキングな大衆向けのサイコパス認識を否定しながらも
じゃあ 原因はなんなのか
対処法として可能性のあるものは
直るのか直らないのか
どう見極めればいいのか
そのすべてに「わからない」と責任を持って発言している事だ
最後のページを見て少し笑った
6個も?が並んでいるw
まったくわからないのだという結論だ

なぜ ここまでわからないかと言えば
表立って研究するに少しはばかられるような事情もあったらしい
この人はサイコパスだと認定してしまっても
それがために その人を隔離するわけにもいかない
その人がサイコパスだと周囲に認知させるわけにもいかない
サイコパスであることは犯罪ではないのだ
しかし犯罪率は高い
どーせーちゅうねんみたいなw
研究自体よりも研究後の社会へのフィードバックに問題が山積みだ

ここで一つ オモシロい判定基準があったので書いてみよう

「あるところにガンを患う妻を持つ男がいた
彼の近所の薬屋がそのガンの特効薬を開発した
その開発には多額の資金がかかっており
その上彼は製造費の10倍の価格でそれを売り出した
男は その薬の代金の半額を借金して集めて薬屋に頼み込んだ
残りの半分は後で必ず払うからその薬を譲ってくれ
しかし薬屋は
ダメだ おれはこれで儲けようと考えているんだと断った
男はしかたなく帰ったが 後に薬屋に忍び込んで薬を盗んだ」

この男の善悪やいかに?
考えてみてください
考察は下の方に書いときます



































善か悪かの判断はどっちでもいいです
それより 諸兄はその結論を得るのにどのくらい時間をかけ
どれだけの思考を重ねたかが問題となります
即時にそりゃ善だよといったアナタは何らかの問題を抱えているかもしれないw

この話は道徳的推論という脳の機能をみるパラダイムとして旧来提示されてきたものです
道徳的ジレンマに陥った時の反応をみるためですな
本書ではこの方法ではバカはみんなサイコパスになっちゃうので科学的ではないと否定的だw
しかし この道徳的推論という機能がまったくといっていいほど欠如しているのが
サイコパスであると言う認識を理解するにはいい物語だと思う

要は 欲しければ盗む ジャマなら殺す
そのハードルが低いわけで
そのとき彼の知能が高く金銭的にも社会的にも余裕がある状況であれば
サイコパスと言えども盗らないし殺さない
しかしそうでなければ 盗むし殺す
そしてその方法になんら後悔するという事がないし
何が悪いのかよくわからない
まー 極端に言えばそんなかんじだ
大多数のサイコパスは他人に興味もない為に平穏に暮らしているという話もある

まー そういう人間がいるという事は誰もがなんとなくは知っているが
あんまり出会う事もないだろう
ちなみに本書では触れられていないが
欧米社会では2〜3%の確率でサイコパスが存在すると言う
でも 中国や日本ではその1/10ほどだそうだが
そのサイコパスの判定自体がおぼつかないので何とも言えない話だ

まー サイコパスについてはなかなかセンセーショナルな内容の読み物も多いが
そういう本を読んでしまう前にこの本に目を通しておくべきだとおれは思う
つーか この本がややこしくてよむ気がしないってんなら
読み物としてのサイコパス本は読むべきではない
アマゾンの書評に並ぶ
「あたしもサイコパスに被害を受けました云々」
という人たちの仲間入りをしたければ別だけれどもw
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