mixiユーザー(id:1362523)

2015年04月11日23:46

371 view

大谷探検隊の軌跡をたどる旅順の旅(8)

昼食を終えて再び旅順博物館に戻ってきました。

もう一度新館に入ります。ここで新疆文物展が開かれているのです。館長自ら解説してくれます。現地中国人の通訳付き。
なにしろこの大人数ですので、解説の声も聞こえないんじゃないかと思いますが、必ずしも皆が館長について行くわけではなく、けっこう自由参観していました。私はずっと館長のすぐそばについて一生懸命聞いていました。

展示品では普段は表に出していないもの、写真のみの展示などもあるそうですが、今回のツアーのために実物を出してくれたものもあるそうです。特に衣服や布などは傷みやすいからでしょう。ほとんど完品の衣服もあり、また織物の断片もいくつか。絹織物では経織、緯織の種類がありますが、中国の織り方と同じだそうです。
また、幡(ばん)が断片、完品いくつか。幡とは上が三角形の布、その下に長い長方形の布をつなげて、さらにその下に短冊のように細い布を何本かつけたものです。法要の時などに使われました。

日本での旅順博物館展で見た物もありました。
トルファン出土の黒い陶器で、白い連珠文のあるものがいくつか。
トユク出土で、首の所に小さな人面のついた水注。

トルファンのアスターナ墓地出土の漢文の墓誌もありました。アスターナの出土品も多いです。
トルファンには漢人の王国がありましたので、出土品は中国風のものが多いです。

唐代の花柄の夾纈(きょうけち)の断片。
夾纈とは、2枚の板に模様を彫って染料をつけて布をはさんでしっかり縛って模様をプリントする技法です。唐代以前は布地は無地でした。唐代以降プリントで模様をつけることができるようになったということです。

仏画の断片がいくつかあり、鮮やかな彩色の跡がわかるものもありましたが、朱色の布地に赤い線書きの菩薩像もあり、これはなぜ彩色されなかったのか、それともこれで完成品なのか不明だそうです。
伏羲・女媧図もありました。

通訳の人は、専門用語の日本語がよくわからないことがあり、時々何と言えばいいのか悩むことがあったので、私が横から口出しすることが何度か…「日本語ではこう言います」って。
伏羲・女媧も、中国語で聞いてすぐわかりましたが、日本語の発音がわからないらしいので私から「ふくぎ・じょか」と言い、さらに周りのツアーの人に「これは中国の創世神話の人物で、手にコンパスを持っていて、周りに星が描いてあって…」などとついでに説明までしてしまいました。

それから、シノ・カロシュティー銭がたくさんガラスケースの中に並んでいました。
表に漢文、裏にカロシュティー文字が書かれた貨幣で、ホータンで出土したものです。本物のシノ・カロシュティー銭が見られて感激。

さらに部屋を移動して、文書類の展示を見ます。
午前中の講義で話していたブルー・ノート(藍冊)があります。本当にスクラップブックのように断片がびっしり貼り付けてあります。ちょうど三谷先生がそばにいたので、それぞれの断片に関連性はあるのか聞いてみました。全部バラバラだそうです。確かに、字体や紙の感じなど全部バラバラです。この中からつながりのあるものを探すのは至難の業です。

仏典が主とはいえ、どこの仏典のどの部分か特定するのは難しいもののようです。特定の仏典に出てくる言葉もありますが、どの仏典でもよく出てくる言葉ですと、ますます判断が難しいということです。

さらに別の部屋へ行きますと、やはり講義で聞いた、別の博物館の出土品とつなぎ合わせたという文書の画像がありました。表が漢文、裏が西域の文字。何の文字か三谷先生に聞きました。裏の文字はソグド文字です。トルファンで出土しました。もともと漢文で書かれた文書の裏を利用したものだということです。
トルファンでソグド語…?
そういえば、唐代にソグド人がたくさんやって来たのですが、最近になってソグド人の墓が多数発掘されて、当時のソグド人の活躍が解明されるようになってきました。とすると、この文書はソグド人の活躍を調べるのに貴重な文書になるわけです。

ああ〜、本当に少々無理をしてでも来てよかった〜〜〜!
7 6

コメント

mixiユーザー

ログインしてコメントを確認・投稿する

<2015年04月>
   1234
567891011
12131415161718
19202122232425
2627282930