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2015年04月03日01:55

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大谷探検隊の軌跡をたどる旅順の旅(6)

旅順博物館に着きました。洋風の建物が建っているので「おお!」と思いましたが、写真で見た建物となんだか違う…?
実はこちらは別館で(しかもあとで知ったんですが、21世紀に建てられた)、写真で見た建物つまり本館は同じ敷地の近くにあったのです。

ともかくまずは別館の中に入り、講堂のようなところに案内されました。大学の教室のような横長の机があって、レジュメが置いてあります。講壇には大きな机があり、上山先生を真ん中にして、両側にそれぞれ三谷先生と旅順博物館の館長さんが座りました。まず館長さんのあいさつがあります。

館長さんは王振芬さんという女性で、最近就任したばかりだそうです。上山先生と龍谷大学は以前から旅順博物館と協力して研究しており、上山先生は前の館長さんを良く知っていて、その下で働いていた王さんも知っていました。そうしたら今回旅順に来て見たら館長になっていたのです。
…なんか、大連図書館でも似たような話だったなあ。

さて、午前中は三谷先生がパワーポイントを使っての講義になります。
まずレジュメに従って進んでいきますが、「大谷探検隊」という呼称に問題提起をしています。
一般に「探検隊」と呼ばれていますが、これは「調査活動」であると。
スタインやヘディンなどは未知の世界に挑んだ探検家でもありますが、大谷光瑞はそうではなくて、仏教の東漸の道を調査するという明確な目的がありました。

レジュメには、大谷コレクションの分散状況が書かれています。中国、韓国、そして日本国内での保管状況です。

三谷先生の専門は文書の研究です。特に大谷探検隊は仏教調査が目的なので、仏典を発見すると、それこそ小さな断片に至るまで細かく収集しました。
旅順博物館には、その断片を「藍冊」または「ブルーノート」という青い表紙のファイルに貼付した状態で多数保管されています。

大谷コレクションは今まで述べてきたようにあちこち分散していますが、近年分散した文書の断片同士の関連性の研究が進んでいるそうです。その中には片面が漢文、裏面が胡語のものがあり、両側を照らし合わせることによって断片同士が同一文書であることを検証するのです。

さらに近年では画像による研究が進み、ヨーロッパに収蔵されている中央アジアから発掘された文書の照合もできるようになってきました。その中で漢文と胡語の両面を照らし合わせて見事に一つの文書に復元された画像も映し出されtました。

大谷コレクションだけでなく、中央アジアの発掘品はイギリス、ドイツ、フランス、スウェーデン、ロシアなどに分散しています。しかしそれは必ずしもマイナスではありません。分散していることによって国境を越えて学者が協力し、学術交流が行われるという利点があるのです。

実際、大谷コレクションを通じて旅順博物館と龍谷大学、中国と日本の交流が恒常的に行われているということで、「なるほど」と思いました。これがさらには世界的な学術交流につながって、中央アジア史の研究がさらに進むといいな〜と思いました。

講義が終了すると、そろそろ昼時です。一旦退館します。出るときにみんな日本が配られました。
「旅順博物館95年簡史」…博物館が出版した本です。中国語です。私はいいですけど…他の人はどうなんでしょう?

そうして昼食のレストランへ。
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