最初に断っておくが、私は特にショスタコーヴィチが大好きな訳ではない。
以前このmixiでも、「苦手なショスタコーヴィチ」などと頻繁に書いていたと記憶する。
そうは言いながらも結構演奏を聴きに行っているのは不思議だが、もしかしたら少しずつはまりつつあるのかもしれない。
さて、今日は「オーケストラ・ダスビダーニャ」の演奏会に行ってきた。このオケは、ショスタコーヴィチの作品を演奏することに特化したアマオケで、ショスタコーヴィチへの想いを込めた熱い演奏をするのである。
本日のプログラムは次のとおり。
・ショスタコーヴィチ:5つの「バレエ組曲」より抜粋
1.ワルツ(第2番第1曲)
2.ダンス(第1番第2曲)
3.ダンス(第3番第3曲)
4.エレジー(第3番第4曲)
5.ギャロップ(第2番第6曲)
6.荷馬車引きの踊り(「ボルト組曲」第3曲)
7.スケルツォ(第4番第3曲)
・ショスタコーヴィチ:交響曲第4番
指揮:長田雅人
会場:すみだトリフォニー 大ホール
冒頭にショスタコーヴィチは苦手だったと書いたが、それは交響曲のみを中心に聴いていた時のことかもしれない。それ以外の作品を聴くと「意外と聴けるものもある」と思うようになったのもたしかで、その代表的なものが「明るい小川」や「ボルト」などのバレエ曲である。
そのバレエ曲から選曲して組曲にしたのが「バレエ組曲」(第1番〜第4番と「ボルト」組曲)であるが、それをさらにこのオケで選んだ「ダスビダーニャ版組曲」が今日のプログラムだ。
もとのバレエである「明るい小川」も「ボルト」も、言ってみればドタバタ喜劇のストーリーであり、ショスタコーヴィチらしからぬ(?)愉しい曲が多いのである。
(組曲は「明るい小川」と「ボルト」以外からも選ばれている。)
演奏はすごい! とにかく音量が大きい。これでもかと鳴らす弦と管で、最初から熱い演奏が繰り広げられていた。「エレジー」ではオーボエのソロが入るが、これもきれいに響き渡って素晴らしかった。「エレジー」といいつつも、暗く悲しい雰囲気はあまりない曲である。今日の7曲の中では特に好きである。「ギャロップ」も金管がガンガン鳴って、聴いている方は楽しめた。
今回の選曲(ダスビダーニャ版組曲)以外にも好きな曲はあり、たとえば第1組曲第1番「ワルツ」や第2番第3曲「ポルカ」、第4番「センチメンタル・ロマンス」あたりは入れて欲しかったなあ。
さて、休憩のあとは本日のメインプログラムである交響曲第4番である。例の「プラウダ批判」の翌年に完成したが、「どうもヤバそうな雰囲気」ということで結局初演はされず、そのままお蔵入りになってしまったのである。(このあと5番で「名誉回復」するということになっている。)
そういうことは置いといて、演奏を素直に楽しもう。前半のバレエ組曲の演奏から容易に予想出来たが、冒頭から大音響の炸裂。生演奏とはいえ、こんなに大きな音で聴いたことはあまり記憶にない。もうこれでもかとばかりにかき鳴らす。もちろん、ただ音が大きいだけの演奏ではなく、このオケのショスタコーヴィチへの熱い想いに裏付けられた、こだわりの演奏の結果であることは間違いない。
そもそも4番自体が、次から次へと気まぐれに(?)展開し、前述のごとき大音響な部分があるかと思えば、室内楽的様相の部分もあり、マーラーのパロディみたいなところもありと、もうなんだか訳の分からないてんこ盛りの交響曲なのである。(これが、ショスタコーヴィチが苦手だった要因の一つか?)
そのてんこ盛り交響曲も、とにかくその演奏の凄さに圧倒され、演奏が終わった瞬間、これは良いと文句なしに思った。最後は最弱音で終わったあと、1分くらい(?)の静寂があったのちの拍手だった。それほど凄まじい演奏だったということなのだろうか。
(いつも同じことを書いているけど)今日も十分に楽しめた演奏会だった。
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