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2012年12月30日00:57

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スペイン旅行記(17)グラナダ(3)

そうそう、コマレス宮に通じている入口の周りの装飾に八角の星の模様がありましたが、ガイドさんによりますと、円は完璧を表し、完璧なのはアッラーのみ。だから人間は円は使えません。人間が使える形は八角形だそうです。

さて、コマレス宮に足を踏み入れますと、まずアラヤネスの中庭になります。細長い長方形の池があり、長い辺の両脇にアラヤネスが植えられています。アラヤネスはミルテまたは天人花ともいい、葉をもむといい香りがします。
その中庭の池の長方形の短い辺の部分に大使の間があるのですが、その前室としてバルカの間があります。細長い空間ですが、細かい鍾乳石飾りが見られます。イスラム建築にはよくこういった複雑な鍾乳石飾りが使われていますが、それは預言者ムハンマドが敵から逃れて鍾乳洞の洞窟に逃げ込み、そこで大天使ガブリエルの啓示を受けたと言われるからです。

大使の間はスルタンの謁見の間です。四角い部屋に壁から天井まで彩色タイルや漆喰細工で装飾されています。天井は木製で、複雑に組み合わされて彩色も施されています。奥に壁龕があり、透かし彫りの窓で光が入ってきます。ここはスルタンの玉座で、後ろの窓から光が入って逆光でスルタンの顔が見えなくなるのです。臣下や外国の使者に謁見するのに、スルタンの顔色をうかがうことが無いように、という意図だそうです。
スルタンはここに座って謁見するだけでなく、窓からはグラナダの街が見え、正面にはアラヤネスの中庭の景色と水鏡に移る空を見ることができたのです。
大使の間の中心部の床にロープを四角く張っている場所があります。ここの床のタイルは当初のものなので保護のためロープを張って踏まれないようにしているのです。

大使の間を出て、池の脇を進んでいきます。壁側には扉がいくつかあります。ここは浴場だそうです。外国の使者が来ますと、スルタンの前に出るのに武器を押収する必要があります。しかし強硬に取り上げるのではなくて、まずお風呂をすすめるのです。そしてお風呂で裸にして、もてなしをして、いい気分にさせたところで重要案件をこちらに有利なように持ち出す…ということなのです。

池の反対側の辺の所まで来て振り返ってくださいと言われました。
そうしたら、池に大使の間の建物が映っているのです。あいにくこの日は風があって、水面にさざ波が立っていてきれいに映りません。しばらく風が収まるのを待っていましたが、弱くなったかと思えばまた吹き始め、結局きれいに映る所は見られず。風がなければまさしく水鏡になってきれいに上下対称に映るコマレス宮が見えるはずなのですが…。(きれいに撮れなかった写真)
この水鏡の効果を真似したのがタージ・マハールです。

アラヤネスの中庭を背にして前に進みますと…ライオンの中庭が!
四角い回廊に囲まれてライオンが周りを支える噴水が中央に。ああ、何度も写真や映像で見たライオンの中庭。数年前から修復していて完成を待ってたんです〜。
確かに「アルカサル」最終回を見て「セビリアのアルカサルを見たい!」と思ったんですが、そのころスペインのツアーを探したら「アルハンブラ宮殿のライオンの中庭は修復中です」の注意書き。やっぱりスペインへ行くからにはアルハンブラ宮殿も見たい…と思って、修復が終わるのを待っていたんです。去年あたりおおむね修復は終わったとかいう話だったんですが、去年は1週間休む隙間が取れなかったのであきらめました。それにスペイン人のことですから、どこまでちゃんと修復が完成しているかと思ったんですが、1年延ばしたからには本当に完成しているのではないかと期待していました。
ガイドさんに、ライオンの中庭の修復工事が終わってるかずっと調べていて、だいたい終わったらしいという情報だったけどスペイン人のことだからどこまで完了しているか不安だったと言ったら、それは正しい判断だといわれました。

そうしたら、ちゃんとライオンは戻っていますし、床がピカピカにきれい。ああ、今の時期に来てよかった。
(写真)
この床は白い大理石でピカピカですが、もとは花が植えられていたそうです。そして回廊より一段低くなっていて、花が咲いている状態で回廊と同じ高さになるようになって、じゅうたんを敷いたようになっていたとか。土を入れて植物を植えると湿気で建物が痛む恐れがあるので大理石敷きになりました。
回廊は細い柱がたくさん並んでいて、それだけでも幻想的な雰囲気です。柱の上に装飾が広がっていますが、これは椰子の木の景色を模したものだそうです。
柱には継ぎ目に鉛の板が挟んであって、地震があったら衝撃を吸収するようになっているのです。世界で最初の免震構造だとか。

入ってきた場所の柱にはロープが渡され、中庭に入れないようになっています。実は見学順路がありまして、入れる場所が決まっているのです。
ということで、まず回廊の右側に回ります。そこからアベンセラッヘスの間に入ります。
アベンセラッヘス家はグラナダ王国の名家でしたが、後宮の女性と密通したとして、連座で一族の男性が皆殺しにされました。まずこの部屋にアベンセラッヘス家の男性たちが集められて虐殺されたといわれます。しかも、密通の事件は、アベンセラッヘス家と対立している家の陰謀だったとも言われます。そのためこの部屋には赤い血の色が残ったとか、夜中になると恨みの声が聞こえるとかいう伝説が残りました。
この部屋は中央に水盤があります。一方の壁が柱で区切られた空間になっています。寝台として使われた跡だろうと思われます。そして天井が八角形の星形になっていて細かい鍾乳石飾りになっています。目がくらみそうな精緻さ、華やかさです。
(写真)

さらに回廊を進み、次の角を曲がると諸王の間です。王の住まいだったと考えられます。
イスラムの時代は床にじゅうたんを敷き、クッションに寄りかかって生活していました。床に座ると、椰子の木をイメージした柱に囲まれて、ライオンの噴水から水が流れるオアシスでくつろいでいる雰囲気になるのです。また、どの部屋も天井が精緻に装飾されているのは、クッションにもたれかかって天井を見上げて楽しむためです。
ここには後宮の女たちもいたということですが、ガイドさんの説明によると後宮の女の定年は16歳!まさか?!それで、定年を迎えた女性は別の館に移されるのです。…ホンマかいな。

諸王の間の正面から中庭に入れるようになっています。円形に並べられた12頭のライオンに支えられた噴水の近くまで行けます。ライオンと言っても、偶像崇拝を避けるためか、全然リアルさがなくて「ライオンの中庭」という名前なのでそう思って見ますが、よく見ると何の生き物かよくわからない動物です。顔がみんな違っていて、鼻のとがったもの、マンガのような鼻ペチャのものなどいろいろです。このライオンの口から水が流れ出しています。
この噴水の前でみんな順番に記念撮影です。4組プラス私一人のツアーなので、順番に撮影しても待ち時間は知れてますが、もしこれが大人数のツアーだったらどうするんでしょうね。

そして撮影大会が終わったら回廊の最後の部屋「二姉妹の間」です。アルハンブラ宮殿と言えばまず出てくる華やかな装飾の部屋です。豪華な鍾乳石飾りの天井、透かし彫りの窓。この窓から入ってくる光の変化を眺めていると、一日過ごしていても飽きないそうです。本当に幻想的で異世界に迷い込んだ気分になります。自分がここにいることが信じられません。
この部屋の奥に小部屋があって、リンダラハのバルコニーと呼ばれます。この窓の下に中庭を見下ろすようになっていて、その向こうにもとはグラナダの街が一望できたそうですが、キリスト教徒が建物を建ててしまい、中庭しか見えなくなってしまいました。
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