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2012年12月06日01:33

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スペイン旅行記(5)トレド(2)

さて、ふたたびガイドさんの後を付いてトレドの街をゾロゾロと歩きます。
細い路地が入り組んでいるので、自力で目的地まで行こうと思ったら大変だろうなと思います。それこそ2〜3日でも滞在して歩き回ることができるなら、迷いながらでも散策するのは楽しいでしょうけれど、そんなに休みが取れない以上パックツアーで効率よくピンポイント観光するしかありません。

そして到着したのはサント・トメ教会。
ここにはエル・グレコの最高傑作と言われる「オルガス伯の埋葬」があるのです。かなり大きい上、壁に取り付けられていて持ち出し不可なので、ここに来ないと見られません。
ここも外国の団体ツアーで混雑していて入口でしばらく待ちます。しばらく待ってから入りますと、それほど大きくない部屋の向こうの壁に絵があります。前方は先客の観光客でびっしり。絵の横に出口があって、見た人から出て行って、後ろの人がだんだん前に詰めていく、という方式です。少しずつ進みながら、ガイドさんが絵の内容を説明してくれます。
オルガス伯は、エル・グレコよりも200年以上前の人で、教会の修復や領民のための政策を行い、信仰心の篤い人物だったそうです。サント・トメ教会はエル・グレコに、オルガス伯が二人の聖人・聖アグスティンと聖セバスティアヌスによって埋葬される絵を依頼しました。

絵は地上と天上の世界に分かれます。下の方では立派な甲冑をまとったオルガス伯が二人の聖人に抱きかかえられて埋葬されようとしています。周りには黒い服に白いラフ(ひだの襟飾り)を着た大勢の人物がびっしり並んでいます。ここはエル・グレコの人物描写力が生かされています。
その上の方に白い子供のような輪郭のものを抱く天使がいます。これはオルガス伯の魂を表していて、天使によって天国に導かれていることを表します。画面の上の中央にはキリストがいて、その両側には聖母マリアと洗礼者ヨハネ、そしてさらにたくさんの聖人がこまごまと書かれています。この天上の部分は、エル・グレコならではの幻想的でこの世ならぬものを描き出す描写力が発揮されています。
世俗の人物描写と天上の非現実な世界の描写の両方が生かされているところが「最高傑作」と言われる理由の一つなのでしょう。

絵を見て外へ出ます。教会本体には入らず…。

これでトレドの観光地訪問は終了。まだまだ見どころはたくさんあるんですが…しょうがないですね。エル・グレコの家とか、サンタ・クルス博物館とか…。

そしてガイドさんについてひたすらゾロゾロ。かなり歩きます。私としましては、中世のような街を歩いているだけでも幸せ。
途中で、ここには人が住んでいるのかと聞いた人がいます。ガイドさんは「住んでますよー」という返事。…をした直後に現れた建物の入口は、古びたドアがぴったりと閉まり、窓もふさがれ、長い間使われていないように見えます。しかし少し先へ行きますと、白くきれいに塗られた壁に、きれいな木のドアの家があって、ドアが開いて人が出てきました。ワンちゃんも出てきました。これからワンちゃんのお散歩かな?
人が住むことで建物が荒れるのを防ぐことができるということです。
また、自動車もよく通ります。道が狭いのでそのたびに立ち止まって端によけます。広場のようになった所には自動車がずらっと停車しています。やはり現代の人が住むには自動車は必要なんですね。ここに上がってくるときのエスカレーターも、住民にとっては生活していくのに必要なものなのでしょう。

そうして、かな〜り歩いて、やっともとのエスカレーターの所に戻ってきました。
エスカレーターを降りて、城門を出て、バスに乗車。城壁に沿って進むとビサグラの新門がありました。でっかい双頭の鷲の紋章が門の上方に彫られています。

そこからすぐ金細工師の工房へ。
トレドは金工細工で有名なのです。特に昔はトレドの剣と言えばヨーロッパでも特に上質の剣として有名だったそうです。薄くて刃が鋭いのだそうです。そして柄や鞘に細かい細工が施されました。工房に入ると、部屋の一角に剣がたくさん無造作に積み上げてありました。最近作る剣は、映画やドラマの小道具だそうです。
それから職人さんが細工をしているのを見ます。トレドの金細工は、細い線にした金を象嵌にして埋めていくのです。その象嵌もランクがあって、本当に金線を地道に重ねて形を作っていくものから、表面だけそれらしく見せかけたものまでいろいろあるそうです。

これでトレド観光はおしまいです。日が暮れかかっています。バスに乗ってマドリードに戻ります。出発してすぐ古い大きな建物があり、昔の病院だと説明されました。ガイドブックを見ますと、タベラ枢機卿病院ですね。今では美術館です。エル・グレコもあります。

マドリードに着いたときはすっかり夜になっていました。

夕食はホテルです。
この時みんなで自己紹介をしました。私以外は皆二人連れです。年配の夫婦、それほど年配でもない夫婦、母と娘、など。私は自分の本の宣伝をしました。実物を見本に持って行き、カバーをコピーしたものを配ったのです。そんなものを持って行ったのかって…?まあ、話の流れで出せそうなら出そうと思って。
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