mixiユーザー(id:1362523)

2012年09月14日01:10

17 view

アーヴィングの「アルハンブラ物語」

「アルハンブラ物語」アーヴィング著 岩波文庫上・下

スペインに行きたくて、読もうと思って買ったまま積んであった本です。本当にスぺインに行くことになったのでついに読みました。

アーヴィングはアメリカ人の駐ヨーロッパ公使館員で、1829年にスペインに滞在しました。特にグラナダにいたときに様々な伝説・物語を聞き、グラナダでの生活と共に書き記したのがこの本です。
出発はセビリアから。当時の旅はラバに乗って、荷物運搬人たちが組織する輸送隊と共に移動します。

そうしてグラナダに到着すると、アルハンブラ宮殿を見に出かけます。当時は管理人の家族が住んでいました。アーヴィングはアルハンブラ宮殿に近づくなり、一人のあまり身なりの良くない若者に話しかけられ、その若者は頼んでもいないのに案内を始めてしまいます。そのうち、この若者がグラナダの街やアルハンブラ宮殿の隅から隅まで知り尽くしており、父親や祖父から昔話をたっぷり仕込んでいて、やがてアーヴィングがグラナダに滞在中サンチョ・パンサよろしく仕えながら面白い話を次々に披露してくれることになるのです。

さらにアーヴィングはグラナダ総督を訪ねます。総督はアルハンブラ宮殿内に住居を与えられていたのですが、そこは山の上で日常の実務には不便なので市中に居を構えていました。アーヴィングが訪れたばかりのアルハンブラ宮殿の素晴らしさを称賛すると、総督はアルハンブラにある自分の住居を提供することを申し出てくれるのです。

そうしてアーヴィングはグラナダ王国最後の王、ボアブディルの宮殿の後継者となったのです。
といっても満足な家具もなく荒れた部屋をなんとか寝起きだけできるようにして、管理人の奥さんと娘さんが世話をしてくれることになりました。

夢みたいな話ですね。アルハンブラ宮殿に住むなんて。そうして数々の部屋を訪ね歩きながら、モーロ人の王たちの時代を想像するという、歴オタにはなんともうらやましい限りの生活をするのです。

特に下巻にはいろいろな物語が収録されています。
グラナダ王国はスペインの南端を占めるのみで、スペインのレコンキスタが迫っていた時代です。しかしスペインの前の時代のカスティーリャ王国とグラナダ王国は戦争ばかりしていたのではなく、友好関係を結ぶこともあったのです。そうした両国の交流を表す物語もありました。

そんな「安逸と夢想の日々」は1年余りで終わりを告げました。アーヴィングはロンドンの公使館に駐留することになり、アルハンブラを後にするのです。
4 2

コメント

mixiユーザー

ログインしてコメントを確認・投稿する

<2012年09月>
      1
2345678
9101112131415
16171819202122
23242526272829
30