新日本フィルハーモニー交響楽団が「新・クラシックへの扉」と題して実施している演奏会に行ってきた。今日はグリーグだ。
プログラムは次のとおり。
・グリーグ:序曲「秋に」
・グリーグ:組曲「ホルベアの時代より」
・グリーグ:「ペール・ギュント」第1組曲/第2組曲
指揮:下野竜也/ソプラノ:半田美和子
会場:すみだトリフォニー
オール・グリーグ・プログラムというのはあまり無いのではなかろうか。
北欧音楽好きには魅力的なプログラムだが、今日は空席が目立った。
グリーグは、あまり一般には受けないのだろうか?
逆に「クラオタ」にとっては、「今さらホルベア〜? ペール・ギュント〜?」なのだろうか。
開演前からなんとなく寂しい気分になってしまうが、演奏を聴き終えてみると、やはりグリーグは楽しい! 素敵な音楽だ!と思う。
序曲「秋に」は、グリーグの作品の中ではマイナーかもしれないが、私は好きだ。春に「秋に」もないだろうということもない。いつ聴いてもいい訳だ。若きグリーグの作品で、イタリア旅行中に作曲されたらしいが、やはりノルウェーの作曲家だ。しみじみとした秋の趣というよりは、厳しくも雄大な北欧の秋だ。久しぶりに聴いて、やっぱりいいなと思った。
弦楽器だけが残り、次は「ホルベアの時代より」だ。軽快さと哀愁を合わせ持つ魅力的な音楽を、たっぷりと聴かせてくれて、楽しい気分になったところで休憩。
続いて本日のメイン・プログラムの「ペール・ギュント」組曲。第1組曲、第2組曲の計8曲を続けて演奏する。
とにかく、楽しいメロディーが満載。よく知っている曲なのに意外と生演奏で聴く機会がなかったが、「ペール・ギュント」とともに冒険の旅をしている気分になって楽しんだ。
さわやかな「朝」、悲しみにつつまれた「オーゼの死」、エキゾチックな「アニトラの踊り」、不気味な「山の魔王の宮殿にて」、どれも見事だ。
ここで「第1組曲」が終わるためか数人の拍手が入ったが、続けて「第2組曲」だ。
悲しげな「イングリッドの嘆き」、楽しげな「アラビアの踊り」と続き、いよいよ「ペール・ギュントの帰郷」。
この終わりの方で、ステージ後方のバルコニーにソプラノの半田さんがゆっくりと登場し、そのまま切れ目なく「ソルヴェイグの歌」に続く。今回は歌付きの特別バージョンだ。
衣装も含めて雰囲気が、「長年恋人を待ち続けているけなげな女性」そのもので、バルコニー上で情感を込めて歌う「ソルヴェイグの歌」の場面は、ちょっとオペラの一場面でも見ている気分になった。
やっぱり、「ペール・ギュント」は楽しい音楽だなと改めて思う。
終演後の拍手の中で、半田さんがステージに降りてきた。
下野さんが指揮台に上り半田さんと並んで挨拶。
これは2人の身長を合わせるためではなく、アンコール曲をやるためだ。
組曲には入っていないが、「ペール・ギュント」の劇中で最後に歌われる「ソルヴェイグの子守歌」を聴かせてくれた。この曲まで聴くことができて得した気分だ。
やや少なめだった客席が惜しい。
今日のグリーグは、本当に「楽しい」という表現がぴったりだ。
会場の外に出たら寒かった。
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