ファンク繋がりで、レッチリの「
夏曲」も紹介したい。
レッド・ホット・チリ・ペッパーズ。名前からして暑そうなバンドだ。彼らの楽曲には夏に聴きたいアグレッシヴなナンバーばかり。
もっとも、最近のレッチリはよりオーセンティックなロックを志向しているようで、とりわけジョン・フルシアンテが手掛けた
一連のバラッド作は、夏というよりも秋を連想する向きが強いかもしれない。
なので、個人的にレッチリの夏曲と言ったら、中期あたりの代表作“ギヴ・イット・アウェイ”を推したい。
アンソニー・キーディスのいかにもふざけたボーカルが印象的なファンク・ナンバー。納豆みたいに舌を巻くラップ(らしきもの)には、オクラみたいに糸を引くジョンのギター・カッティングと、山芋みたいにネバつくフリーのベース・ラインが絡みついている。さしずめ、レッチリ・シェフによるスタミナ満点のネバネバ丼とでも呼んでしまおう。(無理やりこじつけた)
ただし、チャド・スミスのドラムだけは高音のハットを効かせたもので、むしろネバネバしたグルーヴを平らに均すような役割を果たしている。さしずめチャドは、ネバネバ丼で言うところのライス的な扱いか(笑)。
ともあれ、この曲のファンク・グルーヴはなかなか堂に入ってると思う。
もともとこの曲が収録された『ブラッド・シュガー・セックス・マジック』というアルバムは、簡単に言ってしまえば、ハードロックとファンクの折衷をコンセプトに掲げていたはず。この曲を聴けば、その試みは見事に成功したことがわかる。いまだミクスチャー・ロックなんて呼ばれ方をされていた時代だった。
ところが90年代以降、いつのまにかこの手のサウンドは巷に氾濫していた。彼らのやってることと言えば、ハードロックやグランジにラップを絡めただけのラップ・メタルとかいうジャンルに表象される通り、レッチリとは似て非なるものだった。あえて名前は挙げないが、彼らはレッチリ・サウンドの上辺だけを掬いあげ、肝心のファンクネスはおざなりにしていた。俺に言わせれば、彼らの演奏には決定的にネバネバ度が足りていない。
ファンク・グルーヴは一朝一夕ではモノにできない。レッチリの楽曲がこれだけ夏に似合ってしまうのも、黒人音楽たるファンクをこよなく愛する連中だったからだ。
ファンクは一日してならず!ファンクは一日にして粘らず!そしてネバネバ丼は夏に限る!
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