3月5日の日記から
啓蟄という漢字に幸という文字が入っているとつぶやいている
そんなふうにこともなく朝が明けてゆく
そのときには29日の予定日から5日目を迎えていることなどは気にかけていない
陣痛は突然やってくると聞いてわかったようなわからないような曖昧な感触しか持てずに納得して
「バナナを持つのを忘れたみたい テーブルに置いたままか?」
とLINE で尋ね
「置いてあるで」
と返事が来ていたので
「やっぱしそうか」
と書いて送っておいた
その返事がいつまでたっても既読に変化しなかったのは
このあと 陣痛がきていたということなのだろう
連絡がわたしまで届くのはその2時間ほど後のことで
もはやわたしの出番などはなくなっているのに
じいさんにも…ということで呼ばれたのだ
当番で仕事に出ていたが切り上げる段取りをして
午後一番で病院に駆けつけたものの
その後は情けなくメインステージから隔たったところで
時を待つのだった
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