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2026年02月11日23:48

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「HELP 復讐島」を見て。〜被り続け放しだったハラスに対する優位の笑み返しは、絶海の孤島サバイブで流した血反吐を添えて。〜

鳴物入りの続編とかIPキャラクター派生の大掛かりなスケールで圧倒して終わる作品ではなく、本作は作り手のアイデアを芯にして、そこに演出の独自色と登場人物に肉付けを施して見る側に感情移入を働かせ話に引き込む演者の献身が乗っかっている。市場的に、クリエイター主体の規模がそう大きくない作品が成功する例が少なくなった現在、なかなかお目に掛かれない良作を引き当てました。

ポスター等にありますが、コツコツと持てる仕事の能力を会社と昇進の為に捧げて来た女性社員と、彼女の実力を認めないばかりか、あからさまなハラスメントで持って尊厳を傷つける血筋と見た目の上っ面だけが取り柄の二代目ボンボン社長の二人が、チャーター機の事故で二人だけで絶海の孤島に取り残されるという。

この様に相容れない者同士が、安全な日常からかけ離れた、死と隣り合う「究極の場面」に突如押しやられる発想の作品は数多の数現れました。VIP御用達のチャーター機が、不慮とは言え、あんな壮絶に落下して良いものなのかも合わせて、互いに快く思っていない者同志で孤島に残される唐突さ。更には、生存の鍵を握るのは女性が備えもつサバイバル技能という、フィクションでしかあり得ない状況設定だけでは、本作も何処かで聴いた話と片付けられがちだけれども。

多分、見ている側が実践する機会に遭遇しないと信じているけれど。彼女の隠されたスキルとして披露されるものの中には、大海に囲まれて屋根のない自然の元生きる手立てとして参考になるものもあれば、オフィス業務に馴らされていて果たして直ちに発揮できるのか判らない狩猟から、大自然の環境に晒され疲弊する男をあざ笑うかの南国の長い葉っぱ製の日よけ帽子をこさえる編み込み技術まで。


そんな陥ったトンデモ無い状況を切り開きつつ孤島での序列順位を入れ替えるサバイバルスキルが話を転がすのだけれど。そこで直ちに、女性部下のウサ晴らしから痛快悪者成敗に転じたりはせず。ハラスメントの加害者が根っからの加害者つまり悪者ではなく、ハラスメントを被ってきた側もずうっと傷を負わされる忍耐強さ持ち得ず、何かの切っ掛けで反抗に転ずる過去と可能性がある事が示されて。

邦題では、「復讐島」と作品の中味を一面だけで表記していますが。海に浮かぶ孤島は、ハラスメントの起因となる社会的地位が及ばない対等な立場で相対する事が出来る得難い「決闘場」であるのが、女性の言動に執着から思い当たって。展開や見せ方も、サスペンスフルな緊迫度を高めて目が離せない。

そこに、80年代のインディペンデントの頃に培ったドギツさスレスレなのに勢いや可笑しみで緩急付ける巧みな舵取りで想像も及ばない水平線の彼方へ引き連れてくれるサム・ライミ監督。浮き沈みも、景気の波もなんのその、持ち味失わないどころか、時代に合った「社会問題」をモチーフにして強かに存在を示して、何本か昔から知る者としては実に頼もしい。

そして、ヒロインを演じるレイチェル・マクアダムスさんも、オスカーのノミネートに引っかかるような、ご自身のステイタスアップには繋がらないジャンル作品なのに、演者としての懐深さをもって作品に献身されていて。確かに有能なのであろうけれど、一言挟まずにはいられない厚かましさ故に、自らハラスメントの標的となるのも致し方ない振る舞いは、「痛さ」がアリアリと伝わるのだ。

クソ上司役のディラン・オブライエン氏は、初対面だったけれど、島に流れ着いてからは、逆に受け身の損な役で、単に痛い目だけではなく、不味い液体系のものもぶちまけられて散々な場面をよく耐えられて。確かなストーリーテリングに、演者がシッカリ応えて協奏を奏でる。

ヒロインが聴かれても無いのに明かすカラオケの持ち歌に、エンディングにも流れるどちらもデボラ・ハリーがボーカルのブロンディによるナンバーというのが、テイラー・スイフトとか、自分らしさを謳歌する今の歌姫のハヤリ歌ではなく、ちよっと前の男ロック全盛を揉まれて腹に不満とかイロイロため込んでいたであろう方を持ち出したところがまた、どっこい生きてゆくって感じにも取れて。太々しくも清々しさを醸している。

拙文にお付き合い頂き、ありがとうございました。
シネプラザサントムーン シアター5にて

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