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2026年01月01日00:06

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「アバター ファイヤー・アンド・アッシュ」を見て。〜惰性で繋げた続編の決めつけ論外の深みを増した映像の革新性とその見栄えを貫く一本通ったテーマは、劇場体感でこそ〜

3D作品が切れずに立続けで公開されていた頃も、今は昔となってしまって。自身が設立した製作会社を通して競合や追随する者が乏しくなった現状でも、ジェームズ・キャメロン監督は、3D映像の視覚効果の可能性の進展にこれまでの作品で得た「成果」をつぎ込み、自身の監督作品を通して探求しつつ、「終点」が無い技術開発の維持継続の為にも多くの観客の興味を引き配給会社に今後の映画製作の保証を担保して貰うべく、語り部としても創意をフル稼働させた渾身の勝負作品です。

長年、映画を見続けておりますが。若い世代があまり見受けられない客席に身を置いていると劇場での映画鑑賞という体験も過去となる日が来るのではないかという予感が、たまに過るものでしたが。2025年の後半に、アメリカの老舗スタジオの配信業者への「身売り」の報道で、いよいよ懸念は現実のものになりそうです。

そんな中、低予算映画の製作を足掛かりに映画における創造性の実現過程とそれを育む映画館での体感を誰よりも信じ、実績評価とも得た第一人者の立場だからこそ声をあげるJ.キャメロン監督作品は、上映回に出かける都合をつけて、その視覚効果のためにお高い身銭も切らねばなりませぬ。

3時間の尺も始まってしまえば「瞬く間」である。スペクタクルな展開だけで終始せず、キャラクターを通して描かれる心情は絵空事ではなく現実を生きる我ら観客にも通じるうえに、物語としてのうねりも備えていて。映画館で見る事に重きを置かれている方であれば、出掛けるのを躊躇うものでは無いでしょう。そして、見るのであれば、3Dのプレミアム上映方式を推奨しいたします。

既に字数を尽くしているので、本作については大まかな触れ方としたい。過去2作は、舞台の惑星パンドラでの人間による「侵略」や異種族間の「衝突」が押し出されて。どうしても、歴史上の他国への武力進出を重ねてしまう。(更に、2作目には、海の知的生命の大規模な狩猟もあって。捕鯨問題を彷彿とさせるので、その点は我国をやり玉に挙げられているみたいで、良い心地ではない)ところが本作では、侵略される側の主人公一家の各人の葛藤に、神を崇め自然と調和した生き方で「統一」されていると思われた惑星住民間の対立や確執といった、人物の内面が掘り下げられる。

前作までは、創り上げられた世界観を「楽しませてもらう」傍観的な構えで居られました。説明的部分から解放されて、肉親関係だとか、職制上の上下関係だとか。もっと広い視野でもって、属する世界での居場所だとか、はたまた勢力図的知見や生存権の死守だとか。対峙する相手によって押し通したり、駆け引きしたりと、関係にあって感情や思惑がうごめき物語が転がって。長尺でも目の放しどころ無く、惹き付ける。

特に前作を見返しては臨まなかったので、見ながら人物を思い出していたのですが。生身の人間がそのままでは暮らせないパンドラにあって、主人公一家には、酸素マスクが欠かせないスパイダーって白人の10代位の男の子が居るのだけど。どう見ても、「お荷物」的存在であるのが示されて。これまた姿は現地人だけど一家の養女的存在のキリが、絶命危機にスパイダーが陥った際の咄嗟の「対処」のお陰でパンドラの環境を克服した初めての人間となる。(「鬼滅」での主人公炭治郎の鬼にされてしまった禰豆子が、陽の光を克服してしまったのに被るか)

これで「主人公一家が、平穏に生活できる」とは丸く収まらず。前作までのゴダゴダで、惑星の他部族に居させて貰っている立場なところ、人間側にとってスパイダー君は格好の研究対象になってますます人間侵略の火種となって悩ましく、主人公には養父としての葛藤が湧いて。更には、スパイダー君は、主人公がアバターとしてパンドラに住み着く前の軍隊での上官、今や主人公同様アバター半生を歩むクオリッチの血を引いているものだから、「父性」を賭けた戦いが、人類対パンドラ住民の侵略戦争加えて更に圧し掛かる。

それは、物語の「片鱗」に過ぎませんが。隙なく作り込まれた世界観に、演者の表情や動きをデータで取り込んで人型異星人に作り替えられた(スパイダー君は、生身のまんまじゃないかなと)キャラクターではあるのだけれど、久々掛けた3Dメガネ越しに、創られたのに溢れる生物感が直ぐ目前にあって。その背景にはパンドラの空気感が視界の向うに確かに在る。どうしても、立体映像と云われると、画面を突き出してくる効果ばかりを思い描きがちな、前時代の硬い頭の持ち主ですが。もちろん、ジャンルの売りである活劇場面も映えるのだけれど、エフェクトが引っ込んだドラマ要素の高い何気ない描写にキャメロン監督が心血注ぐ3D技術の進化を目撃、体感出来たのです。

なんか、画角の手前パンドラの地に客席を置いて、現地の人達の気持ちのぶつけ合いを見る様な感覚でした。「それが、どうした」って言われるかもしれませんが、目前にアリアリとした感って表現が、肉眼で見ていた頃とは実感のレベルでかなり現実に近くなったのでは。

本作であらたに登場する、自然との調和生活を信条とする他のパンドラ民族に後ろ足で砂を掛けるかの刹那的、好戦的焼き払い姿勢である享楽民族の女領主のヴァランとクオリッチとの腹の探り合いと本能的な興味で絡みあうところや、主人公ジェイクの戦う良妻ネイテリの蔦のようなもので編んだコスチュームでの佇まいとか。演じてはいるけれど、着ぐるみでもないグラフィックで表わした身体なのに、生身のように見惚れかけたりもする。

生身の俳優による異星人キャラクターアプローチで云うと、スパイダー少年と近い年ごろである養女のキリを演じているのが監督とは深い縁のシガーニー・ウィーバーさんなのですが。そういう事で、姿かたちでは実年齢を振り払う演技をシカとは見届け難かったりします。せめて声色だけでも鼓膜で実感するつもりが、またしても原語発声版の時間が合わず叶わなかったけれど。吹替え担当が、「プレデター」に続いての早見沙織さんで、シガーニーおば様の10代転生は、力量ある声優の力添えもあって完璧なものとなりました。

パンドラの民族は、自然と生き物を調和する神の如き存在「エイワ」を奉り、頭から髪の毛と共に映えている透過光の「線」によって、星の過去や精神と繋がるのだけれど、ヴァランは、過去に自分達種族に起こった不幸を機に存在を否定しているのもあって、享楽的に奪い火を付けて無である灰に戻す行動をしていて。そういう引っ掻き回し役を担ってくれるお陰で、2作目に続いて捕鯨問題が出て来ても、混沌状況に落とし込んでくれるのもあって、見心地も良くなっているのだが。

てっきり、終わりには改心するか、破滅するかで解決が付くかと思いきや。
先の映画館の存続危機問題でこじつけると。作品を体感するというのは、料金も時間も見る人の身も預けたら、配信と違い止めたり、時間を変えて続きを再生したりとか出来ず。パンドラじゃない神的な存在映画館に委ねないとならない訳で。見たいように、やりたいように火を操るヴァランを、映像体験原理に背く新興勢力と見做すなら、更なる3D技術の進化で見せる次回シリーズでの「お導き」を是が非でも期待したい。

拙文にお付き合い頂き、ありがとうございました。
シネマサンシャインららぽーと沼津 IMAXレーザー 3D日本語吹替え版

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