本作で、初めてお目に掛かるワン・イーポーさんは、中華系のドラマその他で衆目を集めているらしく。公開規模はわかりませんが、この後我が国でも、出演作が2本掛かるのだそうだ。初物に手を出すのを躊躇しがちな私の目的は、ワン氏に胸を貸すトニー・レオン様にある。
とは言え、時代設定的に本作と近い「ラスト、コーション」は、未見で。ウォン・カーウァイ監督作品の再映では、当時のトニーさんとは、二度くらいお目に掛かっていたけれど。新作となると、「グランド・マスター」以来か、大分間が空いたものだ。
1940年代の日本軍が侵略を進めていた頃の中国混乱期の諜報モノが題材と云う事で、裏切りとか非情だとか「ビター」な展開でもって、魔都上海を舞台にベテランと若手が、粋にシャープに着こなしたスーツプレイと共に痺れさせてくれるかもしれない期待で出掛けました。
撮影現場の裏方スタントマン出身ではないので、「HERO」でのワイヤー剣劇は別として、あまり素手で拳を交えつつの肉弾的見せ場とは無縁な感じのトニーさんですが。「喧嘩上等」とばかり、カーテンやら部屋の備品も動員しての締め上げから、部屋を突き出て、廊下のドアも壊しての、飴細工的に割れやすくしたドアガラスも武器に使う大立ち回りを、ワン氏と結構長い尺繰り広げて。その間の顔付き見ると、取っ組み合いで相手と比較せざるを得ないのもあるから頬のあたりのラインの膨張とか目が行ってしまって「年季」を感じてしまうも。直接の落下のカットはなかったけれど、ワン氏も階段下に叩きつけられて、互いの健闘が認められる見せ場もありました。
貿易地というのもあって、上海の街並みに軒を連ねる洋菓子店の店構えが欧州風で、トニーさん扮するフーが、女性工作員との連絡を兼ねて遣い物としてあげるミルフィーユも味わってみたくなって。建物の大道具から、スィーツだとか消えものまで、美術も悪くなかったし。ワン氏の恋人役の方も、今風の整った小顔ではあるけれど、美形たったし。
私が、世界史音痴なのもあるかもしれませんが、日中戦争から第二次大戦の中国大陸混乱期における、汪兆銘氏とか蔣介石氏の立ち位置だとかが、本編見る間に思い出せないのがまず難点で。侵攻した側なので、全く事実にないとも言い切れないのだけれど、日本軍による現地の一般民に対して「蛮行」みたいのが、物語の展開上挿入する必要性を考える傍ら、いたたまれなさも覚えたりして。
また、見せ方として、冒頭に「帰結部分」を出しておいて、どうしてその様な事態に至ったかを詳らかにしてゆく手法(フラッシュフォワードつうのか?) があります。印象付けしたいのは帰結だけでは無くかったらしく、幾つも段構え構造で。前半幾つか見たシーンが、また後から数回出て来くる。
これも、在りがちなのだけれど。本来なら、漏らさなくても良い大事な事を、お話の展開上のために説明の役割を負わされて、ポロっと相手に漏らしたりする。2時間の尺を経て、「予想外」の展開でしょってアピールしたかったのだろうけれど。登場人物を掘り下げて、感情移入させつつ、ほど良い長さで緊張を保ったところで、意表を突いてほしいのに。見た私の感性が悪かったのかもしれませんが、そういう、独特な展開からか痺れるまでには至らず。先にも挙げましたが、立ち回りでメインお二人は、身体を張られて奮闘していたのですけどね。まあ、何かしら「得て」席を立って頂く配慮と受け取ろう。
エンドロールを見ると、トニーさんのお名前の隣には(中国 香港)とか、記載もあって。私の勘繰りが見当違いであれば良いけど。なんか、「のけ者」のレッテル感がして来て。国際的名優に対してなんだかなぁって印象。対して、ワン氏は、読みにくい展開の中、身分を明かすのですが。ああ、やっぱりそうでなくっちゃねって納得した次第。やっぱり、体制からイチャモン付けられては、これからのキャリアに悪影響ですし。
拙文にお付き合い頂き、ありがとうございました
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