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2014年01月04日10:12

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毎日新聞(年末年始記事から)

■ これは私が書いた駄文ではなく毎日新聞から。
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毎日新聞 2013年12月29日 00時08分(最終更新 12月29日 00時16分)

余録:司馬遼太郎が初期に書いたエッセー…

 司馬遼太郎(しば・りょうたろう)が初期に書いたエッセー「私の小説作法」に有名な一節がある。ビルの屋上から下を眺めるようにして、「すでに完結した人生」をとらえ、歴史を考えるのが面白いというのだ。鳥の目で人間の営みを見る司馬作品の神髄を打ち明けた言葉だろう▲年が替わる節目が近づくと凡夫の身でも、視野を広げて時間の流れを見渡したくなる。過去を振り返るのもいいし、将来から現代を見つめれば、何を感じるのだろうかと想像するのも楽しい▲長崎市の端島(はしま)を訪ねたのは今年の晩秋の晴れた日だった。九州大学の藤原恵洋(ふじはら・けいよう)教授(建築史)らの調査に同行させてもらった。かつて炭鉱で栄えた島はそのシルエットから「軍艦島」と呼ばれる。周囲1・2キロの島に5200人が暮らし、人口密度が東京の9倍ともいわれたが、1974年に閉山し、現在は無人島になっている▲2015年の世界文化遺産登録をめざす「明治日本の産業革命遺産」の一つだ。日本最初の鉄筋コンクリート造りの集合住宅をはじめ、かつての最先端のビル群が高密度に建ち並んでいる。あちこちで鉄骨がむき出しになり、崩落していた▲海風や波の痕跡が目立ち、ガレキが散乱する。そんな廃虚になった街でほこりにまみれながら、妙に懐かしいような思いにかられた。近代化や経済成長に突き進んだ時代を一つの文明の形として実感したからだ▲軍艦島の光景を思い浮かべながら、ふと考える。今という時代は何に向かって進んでいるのだろう。未来人は、この文明の姿をどう評価するのだろうか。長い時間軸で、私たちにとって何が大切かを考えるのも悪くないと思ったのだ。

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毎日新聞 2014年01月04日 02時30分

社説:首都・東京の未来 もう「集中」はいらない

 2020年の五輪開催に向かう人口1329万人の首都・東京。江戸時代は五街道、今も多くの国道の起点である日本橋の景観が改めて注目されている。首都高速道路が老朽化で大規模改修されることが昨年末に決まり、橋の付近も優先区間に含まれるためだ。

 日本橋の上を高速道路が覆ったのは1964年五輪の前年で、当時は高度成長と技術力の象徴だった。だが青空を失った代償は大きく、やがて地元を中心に見直しを求める声が起きるようになった。

 ◇日本橋の景観は問う

 高架にしたまま高速道路を更新すればさらに将来にわたり、橋の上は閉ざされる。国土交通省は地下化も選択肢とするが、コストのハードルは高い。日本橋の景観保全に取り組む「名橋『日本橋』保存会」会長、中村胤夫(たねお)さんは高速道路の移設や交通網全体を見直す中での撤去も一案として「日本が景観や環境を重んじていく先駆けにしたい」と青空を取り戻す期待を語る。

 国際イベントを6年後に控え首都、東京のあり方が問われている。2月9日には都知事選が行われ、都政の新たな担い手も決まる。

 インフラ整備の動きは急ピッチだ。物議をかもした新国立競技場など施設だけではない。首都圏3環状道路の工事は全体的に前倒しされ、羽田空港の滑走路は延伸される。都心と空港を結ぶ直結線構想も取りざたされている。

 「アベノミクス」の目玉、国家戦略特区でも東京は重点地域だ。都は外国企業誘致に向け、優遇税制などを盛ったビジョンを提案している。お台場ではカジノ誘致構想が浮かび、賛否両論の中で合法化の行方が関心を集めている。

 まるで「夢よもう一度」と半世紀以上前の五輪特需をほうふつとさせるにぎやかさだ。首都の活気がこれからも日本に欠かせないことは言うまでもない。

 だが、東京にますます人もカネもモノも集めようといわんばかりの時代錯誤的な空気も感じてしまう。超高齢化を迎えた日本は東京も含め、本格的な人口減少社会に突入する。そんな中で2度目の五輪を成長一色に染め上げ、一極集中を加速する踏み台にしかねない危うさだ。

 むしろ成熟した社会や、分権を進めるシンボルとして首都を捉え直す機会としてはどうだろう。

 森記念財団がまとめた世界の都市総合力ランキングで東京は6年連続4位でロンドン、ニューヨーク、パリに及ばなかった。「文化・交流」「居住」などの分野で後れを取っているのだ。江戸開府400年の歴史があり下町などさまざまな文化、生活圏を持つ多様さこそが東京の強みだ。首都に高速道路を張り巡らせて開催した64年五輪がこうした魅力をむしろ画一化した側面は否めまい。


 きらびやかなビジョンを描く前になすべきこともある。震災など防災と急激な超高齢化への対応というふたつの課題はとりわけ重要である。

 内閣府の検討会は先月、マグニチュード(M)7級の首都直下地震が起きた場合、主に火災によって最大約2.3万人が犠牲となり、経済損失は約95兆円に達するとの戦慄(せんりつ)すべき被害想定をまとめた。だが、多くの犠牲は耐震化や防火など「減災」で未然に防止できる。

 ◇成熟した日本の象徴に

 高齢者の医療・介護の爆発的な需要増への対処も焦眉(しょうび)の急だ。75歳以上の高齢者数は今後大都市圏で激増し、東京は2025年に今より約75万人も多い約200万人に達する。すでに特別養護老人ホームの受け入れは飽和状態で、行き場のないお年寄りも多い。足元を見つめ直すべきだ。「減災」の確固たる工程を示し、超高齢化への備えを急ぐことこそ、新しい知事は第一の使命と心得るべきだろう。

 「東京独り勝ち」からの脱却を政治も考える好機だ。人口減少はただでさえ多くの地域で生活の維持を難しくするほど大きな変化をもたらす。人材、食糧をはじめあらゆる面で都市の繁栄は地方が支えている。さらなる集中にむしろ、歯止めをかけるべき時だ。

 たとえば税の財源をわかちあい、東京など大都市から地方に融通するような発想の転換が必要だ。47都道府県を数ブロックに再編する「道州制」を検討するのであれば、千代田区など数区を切り離しスリムな首都とするような大胆な方法もあり得よう。そもそも、財源や権限に制約がある現在の「23特別区」方式をこれからも維持すべきかどうか。首都のビジョンと機能をまずしっかりと考えなくては国家百年の計に足るような日本の将来像は描けまい。

 貪欲に成長を追い求めるか、それとも景観や文化に配慮しつつ、落ち着きのある、お年寄りや障害のある人、子どもにも住みやすい都を築いていくのか。それは私たちが国の未来をどう考えるかにも通じる。

 2度目の東京五輪を経て今の子どもたちが成長したころ、東京の原点とも言える日本橋はいったいどんな景観を描いているだろう。64年五輪から半世紀を迎えた今年、そんな視点から東京の未来を考えてみても決して無駄ではないはずだ。

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