ふと目を覚ませば夜明けにはまだ早く、けれど深夜というにはもう浅い。
そんな時間だった。
カーテンを閉め忘れていた東の窓からはうっすらと青紫色の『明日』が来訪を告げている。
それは水中から見上げた月のように曖昧で
風と波間に揺らされて朧げに揺れて
ユラユラとした足取りはまるで酔うかのように。
でも着実に、一つ一つ、一歩二歩三歩と夜空を掻き分けて『あなた』は来てくれる。
誰が望もうと望まなくとも。
誰もが願おうと願わなくても。
そして私が死のうとも死ななくても。
46億年もそれを繰り返すその日課を課せられたならばと想像してウンザリしてしまうけれど
怠惰な私は枕を押し流し、腕を代わりに頭の後ろで組み立てて、窓の外を注視する。
もう眠る気は起きない。
外の闇は薄れ、色を失っていく。
だから起きずに寝て待つことにしたのだ。
孤高にやってきて眩しくも暖かい『あの人』をせめて孤独な私が歓迎するために。
明日は近い。 朝と呼んでも差し障りもないだろう。
ほら、もうやって来る。
はるか遠くの山々と家と家の間から彼が顔を出そうとしている。
そういえば私は『明日』をどんな顔で迎えているのだろう?
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