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2020年03月30日23:00

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詩『求め人』

とっぷりと夜は更けていきますとふと
煩わしく思ってしまうのです。

照明もテレビの音、りんとなく虫の声

うるさくて

うざったくて

不必要に思え、そして何か責められているような気がする

その全てを消して、私は部屋の真ん中に…いいえそんな恐ろしいことはできません

かつては白かったはずの壁、薄黄色に汚されたそれに背中をくっつけて

梱包されたように縮こまって項垂れます。


実体も正体すらなくともべったりと世界に充満する黒塊

まとわりつく夜闇を払おうと四肢を忙しなく動かそうとも虚しく空を切る

底すら見えない鍋。 

焦げ付いてへばりつく。

そこに私は存在しない。

それを不安に思えども同時にひどく安堵する。

たまにかき混ぜたお玉の先が触れることでその人が微かに気づく異物のような自身。

それが今であり現在である私


探して、求めて、手を伸ばして

あなたに会いたい、触れたいと。

その声で安堵して

その言葉に喜んで

その指に触れて触れられて

私は救われる。

浮遊する私自身ですらわからないその境目を確定してくれる。

まるで絆のよう、繋がるよう、そして鎖のように絶対的な存在。

求め、求めてくれて、求め合い、やがては隔たりすら融解してやがて一つの人間にしてくれる。

そんなあなたは一体どこにいますか?

……本当にそんなのいるのかしら
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