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2018年10月27日15:09

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『10月24日、こんな夢を見た』

彼女と俺は愛しあっていた。

住みは薄汚れた都会の違法アパート

同年代のルームメイト達は自分の寝る場所だけのスペースに布団と僅かの自由のスペースだけでひしめきあって暮らしていた。

でも俺は幸せだ。

L字型のスペースで頭同士をくっつけあいながらキスをする。

ある日、俺は街角でそれと出会った。

茶色の瓶に白い錠剤で満たされた恍惚の欠片

夢中になった。

幸せで幸せで。

だから深く。深く。

夢の中に沈むこむ。

それは広がる。

広がり続ける。

寒くて汚い現実を塗り潰して

脳内リソースを食い尽くして

やがてそれは枯渇した。

餓死するようにパタリと倒れる音が脳内に響いた。

夢から覚めたんだ。

それも今までのような微睡むような、半酔のような、それからもっと現実まで覚醒して、

俺や仲間達はただの浮浪者で

小汚い格好と生臭い臭いのする寝具に包まれて。

恋人は獣のような声を上げ、路上にまで響くような嬌声を二階の開け放しの窓から響かせる。

惨めったらしく、それを聞く俺を窓際から男と一緒に見下してる。

現実は辛い。 見てはいけないほどに。

起きていてはいけない。

ただ眠る。 眠っていたい。

幸せに。

幸せに。


けれど恍惚の欠片でいつまでも寝ているわけには
いかない。

それはあまりに心地良くて、微睡んで、ただ微睡んで、あまりにも眠りこけてしまうのだ。

やがて限界が来て覚醒してしまう。

それにもう使い切ってしまったから。

長い時間をかけて俺はまだ元に戻れた筈だ

恋人とも仲間とも元に戻った。

少しばかり寝過ぎたのさと、自嘲して笑うと酒に酔い、煙草を吸う仲間は同じ顔で返してくれた。

彼女も同じように。

彼女は少し痩せたようだ。

ただキラキラとした瞳だけは綺麗で、それがゆえに懐かしい恍惚を思い出す。

俺は恍惚の夢から覚めた筈なのだが

今度は彼女が恍惚の夢の中にいる。

恍惚の夢の中で彼女は嬌声をあげて喜んでいた。


俺は笑う。

笑う。

笑う。

そして欺瞞に飽きた。

こっそりとバッグを開けて中にある鈍い色をした容器の火皿に傷だらけのライターで火をつける

吸い口に口付けて大きく吸いこめば、頭蓋にパキパキとした音が木霊する。

彼女は幸せ過ぎて俺のこっそりとしたその動きに気づいていないようだ。

ふと窓の外を見ると

店の外では死の静寂が訪れていた。

皆が皆、刹那の間に死んで、肩を寄せ合うように無言で死んでいた。

夢に深く潜り過ぎたようだよと彼女に言うと

幸福な彼女は、『ずっとこうしていたいわ』とニコニコと笑う。

ポケットのナイフを首に沈むこませても彼女は幸せそうに笑う。

鮮やかに赤い世界が広がった。


ああ微睡みはどこから夢になるのだろう?

ああそしてこれはどこまで夢なんだろうか?





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