文明は ある一定レベルまで発達したところで頭打ちになるという説がある
妊産婦の不安が自殺につながるとするなら
それは間違いなく
家族という共同体の在り方に不自然な部分があるからだ
前にも書いたが
人間の種としての育児の特徴は
母方の祖母が育児参加することにある
あくまでも 自然状態でのホモサピエンスの話であり
文明以前から種が存続するためにそういった習性があるものだと思われている
また そうであったからこそ
今日まで種としては非常に生存能力の低いホモサピエンスが生き残ってきたわけだ
そして 人間のオスはあまり育児参加をメスから望まれない
子殺しをする習性があるからだ
もちろんこれらの特徴は近代的理性の中で克服されたものであると
これまでは強く信じられてきた
話は飛ぶが
会社の飲み会に出席しないだとか
地域共同体の祭りに参加しない
などということも
近代社会では もう個人の思想が優先されるものとして
重きを置かれてはいない
こういった話は全て
人間本来の習性と近代以降の思想がバッティングしているマージナルゾーンだ
いわば どちらを最優先しても無理がかかる範疇にある領域だ
古い家族制度や
利益共同体の儀式めいた飲み会や
地縁血縁のしがらみの中で費やされるコストを
近代思想の中で生きてきた現代人は毛嫌いする
しかし
人間が本来持っている習性というか
これまで生き延びるために順接してきた行動指針を
ただ自由と平等と個人主義に置き換えることは
種としての人間にとって
おそらく 我々が考えている以上のストレスになっている
そういった問題を
ただ 個人に帰して
個人的な心理の問題として片付けられるとは思えない
個人がメンタルを鍛えて
考え方を変えて対処できる問題だとは到底思えないのだ
我々の内側を流れる血は
頭でっかちのエテ公が立ち上がった時から
何も変わっていない
哺乳類最弱の生物が絶滅をしのぎ切ったのには
それなりの理由がある
ある意味 近代の終焉に我々は生きているのだと思う
啓蒙主義が信じきっていた改善されながら進化し続ける社会は
実は それほど大きな可能性を持っていなかったのだろう
なんともショックな記事だと思う
■妊産婦の死因、自殺がトップ 産後うつでメンタル悪化
(朝日新聞デジタル - 09月05日 20:24)
http://news.mixi.jp/view_news.pl?media_id=168&from=diary&id=5275824
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