mixiユーザー(id:1940449)

2018年03月09日00:03

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「沈黙交易」

P・J・H・グリフォン先生
名前長いなーw

20世紀初頭の文化人類学の本だから
もちろん今とは趣が随分異なる
なんせ「野蛮人」表記やからねw
さすがに訳者も気になったのか後書きで原文に忠実に訳した旨を書いている
なんかこー 明治の気骨を感じるね
もちろん日本人じゃないんだけどさw

よく 南太平洋やアマゾン・アフリカの現地人の習俗を
一番乱したのは宣教師と文化人類学者だという話を聞く
読んでるとさもありなんとか思う
グリフォン先生は元から学問の世界の人ではないので
資料的な取捨選択にビミョーなところがあって
逆にそのおかげで どんな情報をもとに当時の探検家や文化人類学者からのレポートが西欧諸国に入っていたのかがよくわかる

基本的に西洋文明かせめてインド・中国文明以外の地に住む人間は
「もしかしたら我々に比較して進化の遅れた人類なんじゃないか?」
という説を証明して大発見したい
みたいな隠れた欲望もある時代なので
学者といえども結構信用ならない
当書でも「野蛮人」でなければ「原初的人類」と言う呼び名を使っている
今日の感覚からすれば随分ずれた話だが
そういうのを完全に諦めたのはレヴィ先生以降だからつい最近の話だ

「沈黙交易」とは
決まった場所に交換したいものを置いておいて
しばらくたつと そこに交換されたものが代わりに置いてある
みたいな非接触型の物々交換をいう
まー 今日でいう商品の販売や交換に比較して
儀式的要素が強い
必ずしも交換したい欲求が強くあってと言うより
儀式的贈与に近い意味合いがあったという説もある
よくわからない
わからなくしているのは
白人の商人が現地人と行う商取引きが
そういう形式を多く行った記録があると言うことであって
現地人同士が行う交易については具体的な資料が割と少ない
そういう意味では
まさにこの本は
「異文化接触の原初的メカニズム序説」と副題にあるように
ある程度の商業的活動が成立した後の社会と
それ以前の社会との接触の様子が書かれていることになる

ちょっと期待外れだったものの
それなりに面白い
様々な探検者の記述から見られるのは
現地人の観念に「交換」など最初はなく
近づいてきた白人が何らかの交易や会話をするための「贈り物」からそれを覚えていった節があるということだ
オーストラリアでは
現地の彼らに様々なものを与え交換を希望したが
結局 彼らは交換とは何であるか理解できなかったという
そして結局 彼らが最初は目をキラキラさせて欲しがった光り物も
後になってその辺りの森にみんな捨ててあったというw

結局 様々な事例をもとにグリフォン先生は結論を出す
彼らが外部と接触を持つ場合でも
真に友愛の感情を持って付き合うことはない
交換は 戦うよりマシ程度のきっかけから共同体の掟となったものも多く
外部の人間を歓待する様子があっても
それはただ「掟がそうなっているから」であって それ以上ではない
その証拠に 村から一歩出た瞬間に身ぐるみ剥がれることもあり得るのだ
みたいなことを言っている
まー 沈黙交易はいらぬ戦いを避けるためくらいの結論に至る

読みながら うふふ とか思ってたんだが
この本で書かれている現地人の記録はどこかで読んだことがある
日本書紀のエミシの描写だ

「東夷の中に エミシこれ甚だ強し 毛を敷き血を飲みて兄弟相疑う 山に登ること飛禽のごとく 草をかけること操縦の如し 恩を受けては則ち忘れ あだを受けては必ずむくゆ 是を以って箭を頭髪に隠し 刀を衣の中に佩けり 或は党類を聚めて辺界を犯し 或は農桑を伺い以って人民を略む 撃てば則ち草に隠れ 追えば則ち山に入る」

アパッチかお前らはw
ある程度社会化が進んだ農耕側から見れば
狩猟採集の側は似たような表現を以って迎えられることになるのかもしれない
「恩を受けては則ち忘れ あだを受けては必ずむくゆ」の箇所は
この本にもしきりと出てくる描写だが
贈答 交換 に対する基本的な概念が異なっていたのかもしれない

なんでこんな本を眺めているかといえば
縄文期に黒曜石等の流通があったという話に
どうしても理解できない部分があるからだ
なんでわざわざw
船を使っていったにせよ
単なる交易として考えるには無理があるように感じてしまう
それは交換なのか?
それとも儀礼なのか?
イノシシやシャケの干物だったら自分で採った方が早かろうにw
交換だったとしたら 何を得ていたのか?
よくわかんないw

ナニしに行ってたんだ縄文人w
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