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2023年11月19日00:38

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奈良ホテルで食すフレンチコースと錦秋の装い世界遺産絶景吉野山(1)

バスツアーに行ってきました。奈良ホテルに行きたかっただけで、別にバスツアーに行きたいわけじゃないんですが。奈良ホテルは前から行きたいと思っていたんですが、一人だとハードルが高くてなかなか行きにくい。行ったからと言って簡単に内部見学できるのかどうかもわからない。
ということで、奈良ホテルでフランス料理が食べられて、館内見学もできるということで申し込みしました。なんか吉野山にも行くらしいですが、それはどうでもいい。

奈良ホテルは辰野金吾の設計で1909年に開業しました。辰野金吾と言えば東京駅、日銀。そして浜寺公園駅。なのにこの豪壮な和風の造りはどういうことでしょう。
この数年前。奈良では片山東熊(かたやま・とうくま)による奈良帝室博物館が完成しました。現在の奈良国立博物館です。片山東熊は赤坂迎賓館、東博表慶館、京博など重厚な洋風建築をいくつも作っています。しかし奈良に同じような洋風建築を作ったら、景観に合わない!と大ブーイング。それで奈良ホテルを建てる際に設計を担当した辰野金吾は、周囲の景観と調和するような建物を作ることになりました。

奈良ホテルに着きますと、パンフレットをくれました。館内美術品&調度品めぐり…こんなパンフレットまで作っているということは、一般の見学も受け入れているということでしょうか。
ホテルの中は、和風の外観に対して和洋折衷です。少なくとも「旅館」ではありません。格天井の吹き抜けのフロントは全く洋式ホテル。フロントの対面に小さなマントルピースがあります。なぜか上に赤い鳥居を載せています。そしてその横には上村松園の「花嫁」という絵が掛かっています。奈良ホテルには日本の有名画家、書家の作品があちこちに飾られています。
フロントの奥にはバーとティールームがあります。ティールームにはマントルピースがあり、その隣には古いアップライトピアノがあります。これはアインシュタインが奈良に来た時にこのホテルに泊まって弾いたピアノだそうです。証拠写真も飾られています。
奈良ホテルには著名人がたくさん来ています。エドワード8世、チャップリン、ヘレン・ケラー、オードリー・ヘプバーン…。

1914年にはマントルピースに代わって全館セントラルヒーティング化されました。部屋の隅にはその際設置されたスチーム暖房が置かれています。現在は使われていませんが、金属部分に細かい装飾が施されれています。

2階に上がる階段は、木製の手すりに擬宝珠が付いている和風の作りながら、赤いじゅうたんが敷かれて洋館の要素が加わっています。擬宝珠はもとはしんちゅうだったそうですが、戦時中の金属供出で奈良の伝統工芸「赤膚焼」のものと取り替えられました。美しい釉薬の発色で、代用品とは思えない出来栄えと手すりとの調和で、このまま残ることになりました。階段の踊り場には銅鑼があります。昔食事の時間を知らせたそうですが、戦時中は空襲警報時に鳴らしたとか。

2階にはイスとテーブルが置かれた小さなレストスペースがあります。縦長の窓から外の景色が見えます。窓枠には独特の装飾が施されています。このあたりは1階から吹き抜けになっているのですが、2階の天井から階段の手すりあたりまでシャンデリアが下がっています。それも釣燈籠を模した和風のシャンデリアです。周囲の壁にはずらっと絵が並んでいます。

すっかりうっとり見とれてうろうろしているうちに昼食の時間に。
奈良ホテルは本館の正面左に新館が作られました。外観は本館とほとんど同じですが、中はちょっとだけ新しい感じがします。ランチは新館の宴会場のようなところでした。なのでレトロな雰囲気はしないんですが、高級ホテル感はあります。

しかし。並んでいるテーブルは正方形の4人掛け。ツアー内のグループごとに一つのテーブルがあてがわれました。2〜3人グループならちょうどいいでしょう。しかし一人参加も一つのテーブルです。椅子が2辺に一つずつで、席に案内されて、もう一つの椅子に荷物を置いてくださいと言われました。…なんか寂しいな。一人参加はあと何人かいて、一人で一つのテーブルについていました。まさか個テーブルとは思いませんでした。食事中に他の参加者の人とお話できるかな、なんて思っていたのですが、個テーブルではムリです。
料理はフレンチのコース料理です。前菜、スープ、メイン、デザート、コーヒー。凝った料理ではなく、ごくごく普通のフランス料理です。

メニューは
・炙りサーモントラウトのサラダ仕立て
・ポタージュ(かなり濃厚)
・牛肉のステーキ(分厚かった。温野菜付き)
・緑茶パンナコッタ(私ぐらいの世代たと「ババロアか?」。フルーツ付き)
・コーヒー
パンが2種類付きます。バターもたっぷり用意されていました。上品でおいしかったです。

のんびりコーヒーを飲んでいたら、時計を見てはたと気が付きました。あまり時間に余裕がない!宴会場の外に創業時からの古いカトラリーが展示されているのでそれを見なくては。
創業時のカトラリーは銀製で豪華なものがずらっと並んでいます。
1935年に愛新覚羅溥儀が来た時に作られたという大倉陶園の食器セットもあります。同時期に製造されたと思われるカガミクリスタルのガラス器もあります。ガラスに繊細な彫刻が施されています。

すっかり満足して、出発ぎりぎりにバスに乗り込みました。

(つづく)
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