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2021年12月26日06:22

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風林火山伝 第76話 平蜘蛛の窯爆弾

その兵は織田信長に大火傷を負わせた松永久秀の軍であった。松永軍は織田本陣にめがけて突進してきた。

「あれは久秀の軍が! おのれ、裏切り者! わしにかなりの大火傷追わせよって許さん!」と信長が言った。

「信長め、まだ生きておったか。それにしてもそのミイラ姿は笑えるな。本物の平蜘蛛の窯はここにある。せめてもの裏切りの詫びじゃ。」と久秀と言いながら、久秀は信長を挑発するよう、平蜘蛛の窯を信長の目掛けて放り投げ去っていった。

 当然のことながらこの平蜘蛛の窯も偽物であり、久秀の投げた平蜘蛛の窯は信長目掛けて飛んで来たが、そばにいた柴田勝家は、とっさに長槍を振り回し、平蜘蛛の窯を長槍で打ち返した。その後、平蜘蛛の窯は信長を離れ、しばらくたって空中で爆発した。まさもや、信長は勝家の働きにより命を取り留めたのであった。

「上様、危ないところでございました。あの裏切り者許しておけません。拙者が追い打ちいたしましょう!」と勝家は言った。

「しておけ、このまま追い打ちをかければ、久秀の思うつぼだ。この先、どんな罠をしかけてくるかわからんぞ。」と信長は言った。

松永軍はその間に、多数の平蜘蛛の窯爆弾を地雷のように織田軍の陣取っているー里ほど前方の鴨川の北側に置き、さらには、道三製の油をまき散らし、松永軍は鴨川の北側 鳥羽付近に陣取り、織田軍の進軍を待ち受けたのであった。

そして、織田軍が再び京に向けて、進軍を開始した。そして、先陣は筒井順慶が率いる筒井軍約5千であった。そ筒井軍はしばらくして、鴨川近くまできたところで、鴨川の北側で松永軍が待ち受けているのに気づいた。

 順慶は「久秀め、このわしがなんとしても討ち取ってやる。覚悟せよ!」と鴨川を渡ろうとしたとき、鴨川の北側の堤防に多数の平蜘蛛の窯がおいてあり、これは久秀の罠であることを察知し、急遽、軍を後方に退却させたのであった。

 久秀は「さすがは順慶、よく、わしの平蜘蛛の窯爆弾の罠に気づいたな。しかし、この
平蜘蛛の窯爆弾を突破できなければ、京へは進めぬぞ!」と笑いながら言った。

順慶は「危ないところであった。久秀の平蜘蛛の窯爆弾がこんなところに仕掛けてあるとは。しばらく軍を止め、上様の本軍を待ち、指示を仰ごう。」と言い、鴨川の堤防の南側で軍を待機させたのであった。

その後、織田本隊が到着し、順慶より久秀の平蜘蛛爆弾の罠を信長に報告したのであった。信長は「おのれ、久秀め、わが軍の京への道を遮ったな。しばらく、ここで軍議を開き、平蜘蛛の窯爆弾の対策について考えよ!」と叫んだ。

一方、武田軍の先発隊約6千 馬場信春、真田信綱、小山田信繁は久秀からの使いから
武田への寝返りの知らせを聞き、鳥羽に陣取る松永軍に合流すべく、山科付近まで軍をすすめていた。

また、武田信玄率いる本隊は3月7日夕刻には明智光秀の居城、坂本城に到着した。
坂本城には京の足利義昭の護衛をしていたはずの光秀が、信玄を迎えるため急ぎ早馬にて
坂本城に戻っていたのであった。


                                  つづく




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