私は精子である
名前はまだない
どうやって生まれたのかとんと見当がつかない
テッシュにくるまれて捨てられたことだけは覚えている
私にはミトコンドリアがある
ミトコンドリアとは生命にエネルギーを渡す器官だ
元はと言えば独立した生物が
生命の極最初の頃細胞の中に入り込んだものだ
ミトコンドリアはあるが
その生命は短い
どうしようかとさまよっていると
一個の死にかけたゾウリムシが隣に来て
その中にある葉緑素が 偶然細胞の中に入り込んだ
こんなことは滅多にあることではないが
葉緑素のおかげで 太陽エネルギを取り込み
そのエネルギーでミトコンドリアが生きながらえることができた
私は私の中で 生態系ができていくのを感じ
死なない精子として
生まれ変わることになった
いつしか 温泉でとある卵子と出会い
それが光合成できる人間の始まりである
みたいなw
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