ハイエク先生は世間的には経済学の先生だ
しかし 心理学の先見的な本「感覚秩序」も書いている
おれは 実は先生の経済学は
この内側に秘め続けた心理学を前提としたものだろうと思っている
前に 「生物は変わるべくして変わる」で有名な今西錦司先生とハイエク先生との対談をここで紹介したことがあった
一見異質な分野だと思われがちな二人だが
「心理学者ハイエク」にとっては この因業ジジイ先生と会うことは
十分すぎる意味があったわけだ
http://jshet.net/old/conference/70th/70paper/14yoshino.PDF
引用
諸個人の知識が行き届くのは,自らの行動と,せいぜい身の回りの範囲だけである。
諸個人が可能なのは,行為の繰り返しとして存在す るルールに従つて行動す ることだけであって,全体としての秩序を形成しようとして行動するわけではない。
またそれ はハイエクの知識論から言えばそもそも不可能である。ただし,部分的な諸個人の行動が,全体として意図せざる秩序の発生につながっている。自生的秩序は,言わば状態を記述する用語であるため,それ自体ではある具体的な目的を持ったものではない。
感覚秩序 について も,同 様の ことが言える。
インパルスとそれを選択す る受容器官は,部分的に自らの機能 に従つているだけであり,全体としての感覚秩序の形成に直接貢献できるわけではない。
また,感覚秩序はそもそも,無意識の範囲を含 むか ら,例 えば人間が合理的にある感覚秩序を設計することは,不可能である。
部分的なインパルスに対する反応が,全体としてみれば,意図せずして感覚秩序を形成することにつながっている。
また感覚秩序 自体が,あ る目的や方向をもっているわけではない。
「主知主義」から反「主知主義」への,われわれの意識の転回である。
いくら科学が進んでも,人間は,すべてを自らの知識にすることはできない。
言葉では語り得ない領域,知識として完全には知り得ない領域が存在する。
これは,人間理性に対する謙遜の態度を重視することであり,時空を超えたハイエクからのメッセージである。
引用終わり
(インパルスとは脳のシナプスへの電気的信号を指す)おれ注w
「感覚秩序」序文から ハインリッヒ・クリューヴァー
引用
心理学者は思いつきの無責任な理論の数を増やすことしかしないことが最近ますます明らかになってきた
引用終わり
もちろん ハイエク先生は別に認知心理学の研究者ではないし
自らこの理論は前世代の遺物だと言っているわけではあるが
「偶然起こることはわからない」
という絶対的な確信とルール策定は今も有効だ
この脳機能と社会の形成に関わる諸問題は
単に言語学の言葉の選択のように統一した一般理論などは成立しないことを
我々に絶えず教えてくれる
これだけは絶対に忘れてはいけない
でなければ どんな学問も最終的に政治化するだろう
この前提のもとに
認知心理学等の新しい心理学に基づく応用研究はなされるべきで
そういった意味では
松木先生はスタート時点からその方向性を間違っている
続く
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