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2015年09月17日20:16

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いかれたベイベー

大好きなフィッシュマンズというバンドに「いかれたベイベー」という曲がある・・・

冒頭の部分はこうだ・・・

「悲しい時に、思い出すのはいつでも君の顔だったよ」

非常に簡単でそっけない言葉であるが・・・実はこの出だしは凄い。

悲しい時に・・・という部分が凄い・・・タイトルも凄いけど・・・曲全体がヒンヤリと温かい。

今日もいいたいことは２つある。

本当は３つあるのだけれど・・・最後に上手くたどり着けるか・・・あまり自信がない・・・

まず二つ・・・「モノ」と「コト」だ・・・物事というのは「モノ」と「コト」に因数分解出来ると考えている。

被災地の写真を撮りだしてから・・・僕は徹底的に光に拘り、「モノ」を撮るようにしている。

例えばこれはコトに寄りかかっている・・・
福島で線量計と多重露出している・・・怒りが滲んでしまった・・・

これも明らかに被災地だという「コト」に寄りかかった表現・・・悪い写真ではないけど・・・僕の写真らしくない・・・

ここでフィッシュマンズの冒頭だ・・・

「悲しい時に思い出すのは・・・」

こういうのは圧倒的に僕らしい・・・モノの美しさで見せたいんだ・・・

「モノ」というのは別に無機物ばかりではなく・・・人間もフォルムやシルエットで見ている・・・弾く光を見ている。

「こと」に訴えるのはジャーナリズム・・・
「もの」で見せるのがアートだと思う・・・

ある意味冷徹かもしれないが・・・津波にしても光にしても・・・誰にでも容赦はない・・・

アートは一切下駄を履かない・・・
故にガレキ作品も・・・震災瓦礫なのに美しいというのは、ある意味本意ではない。

まあ・・実際に作るとガレキならではの面白みもあるのだけれど・・・

さて、３つ目だ・・・

非常に中途半端なアングルだと思う・・・
この写真はもっとアンダーにすると列車におとうさんの影が写りこみ、僕らしい「モノ」に振った写真になる・・・

そうさせなかったのは列車の中の子供の表情だ・・・
この写真をアンダーにすると真っ黒に子どもの表情がつぶれてしまう・・・

さてこれだ・・・これも直前まで迷った・・・アンダーに落とせば壁にくっきりと影が写り、実に僕らしい写真になった・・・
やらなかったのは前の写真と同じ理由・・・
最後まで「モノ」と「コト」の「間」で揺れた・・・

最後に言いたいのが「間」だ・・・

冷徹なアートジャンキーを「人間」らしくさせているのが「間」なのだ