やがて時間が立って優香達が席を立つ。 結論から言えば何の益も無い無駄な時間だった。東田は相変わらずの秀逸なトークで優香を笑わせてはいたが、雑談の粋を出ていない。ようするにただの高校生の友人同士の会話をしていただけだ。一方優香も東田のトークに
うす暗い夜道を歩きながら、今日の目的を心の中で確認する。 まず俺の居ないところでの二人の会話を聞いてどの程度優香が心を開いたかを確認。 次に東田の会話をよく吟味して何か付けこめそうなところがあるかを知る。それが無いならば、何か役に立つ情報が
翌日になっても状況は当然のことながら好転していなかった。 むしろ緩やかに悪くなっていっている。 東田がいることで優香の周りに人が集まっていく、そして彼らとの会話に優香をまるで熟練の羊飼いのように違和感無く参加させている。 臆病な羊のよう
東田のアクションは実に早かった。 朝六時に再度メールをしてきて計画を語り、そして登校してきたばかりの俺を下駄箱で待ち構えて計画の説明とすでに優香と約束していることを宣言してきた。 その迅速さに閉口しながらも、「二人っきりではなくて近藤と三
尚も何かしたいという東田を何とか説得し、俺が家路につけたのは最後に優香にメールしてから一時間半後だった。 トボトボと夜道を歩きながら、空を見上げると小さな三日月が浮かんでいる。 結局、優香にメールできなかったな。 仕方ない、家に帰ったらすぐ
その何かが象徴するように状況はさらに悪化してきていた。 四時間目の授業が終了後、昼食を食べ終わった俺は次の授業が移動教室だったので、特にやることも無いと思い早めに授業をやる教室へと向かうことにした。 その際に優香のクラスの前を通りかかる。